研究課題/領域番号 |
23540123
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新井 仁之 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (10175953)
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キーワード | かざぐるまフレームレット / 単純かざぐるまフレームレット / 画像処理 / 2次元ディジタル・フィルタ |
研究概要 |
本年度は筆者ら(新井仁之、新井しのぶ)が考案した単純かざぐるまフレームレット(simple pinwheel framelet)、およびかざぐるまフレームレット(pinwheel framlet)の画像処理への応用に関する研究を行った。フレームレットはウェーブレットのある意味で一般化といえるような枠組みで、これは2003年にI. Daubechiesらにより考案された。ただし、フレームレット自身は視覚・錯視の研究を目的として作られたものではない。筆者らの単純かざぐるまフレームレット、およびかざぐるまフレームレットはヒトの脳内で行われる視覚情報処理の研究のために考案した新しいフレームレットの一つである。本年度までの研究において、2次元の有限長ディジタル・フィルタの新しい設計法、ならびに各種の非線形的な画像処理方法などを研究し考案した。これによりさまざまな用途のディジタル・フィルタの設計が可能になった。この設計方法は、従来のよく知られた方法とは異なるものであると考えられる。単純かざぐるまフレームレット、およびかざぐるまフレームレットは視覚皮質における神経細胞をもとにして作成したものであるが、この特性を利用して、私たちの視覚にとって適した画像処理や、視覚の特定の機能を特化させるようなフィルタ設計あるいは画像処理が可能になったといえる。こういったフィルタや画像処理の事例的な研究、ならびにその効果を今後具体的に調べていくことにしたい。また、従来のディジタル・フィルタの設計法によるものに比べて、筆者の方法がどのように新しい技術となりうるかを今後検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究申請時には想定していなかった新しい方法を考えることができ、当初の計画以上に新たな画像処理への応用の可能性が出てきた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、筆者の考案した2次元ディジタル・フィルタの設計法、ならびに各種画像処理法を用いて、さまざまなフィルタや画像処理の技法を具体的な各種画像により研究していく。また設計フィルタの可能な特性も組織的に研究していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
画像処理用のディジタル・フィルタの新しいタイプの設計法を考案したため、研究を遂行させるには、これを元にした研究に部分的に切り替える必要が生じた。このため、未使用額が発生したが、本研究をより良いものとして完成させるためには、期間を延長して新たな設計法によるフィルタの例の有効性の研究等を行う必要が生じた。 ディジタル・フィルタの性能を計算機実験を行い検証し、さまざまな画像処理の事例的研究を行うために、パソコン、データ記録媒体、プリント用消耗品等の購入、研究に必要な旅費の使用を予定している。
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