研究課題/領域番号 |
23540125
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
中口 悦史 東京医科歯科大学, 教養部, 准教授 (70304011)
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キーワード | 数理モデル / 数理生物学 / 形態形成 / ウロコ再生 / コラーゲン線維 / 計算力学 / 反応拡散系 |
研究概要 |
キンギョなどの硬骨魚類におけるウロコ再生過程のうち,特に線維層形成の基盤となるコラーゲン線維の蓄積・整列過程のみに着目した動的システムモデルの検討を続行した。コラーゲン線維は,向きのあるタンパク質であるコラーゲン線維素が重合し束ねられて構成される。前年度にはコラーゲン線維素を有向性の微小棒状剛体と見立て,相互作用する粒子系の運動によってモデル化を試みたが,これはあくまで試行のためのプロトタイプであった。本年度は,線維素を有向性の双極子と見立て,それらの空間的分布を平滑化して連続的分布で近似し,それらが互いに誘引し向きを揃えるポテンシャルを形成し,自律的に向きを揃えて集合するという仮説を立てて,先行研究課題(若手研究(B)課題番号20740058および17740058)で得られた知見も参考にしながら,反応拡散系によるモデル化を行った。残念ながら理論解析や計算機シミュレーションが完了していないため,成果発表に至っていないが,次年度に開催予定の国際会議等で成果発表の予定である。 並行して,関西学院大学・大崎浩一准教授らとの打ち合わせを継続しながら,反応拡散系の力学系に関する研究も進めた。2次元および3次元領域における弱減衰項を持つ走化性方程式の大域解の構成について,前年度に学術雑誌へ投稿した論文は掲載公表された。さらにその展開として,より高次元の場合への拡張について検討し,その一部をまとめることができたので,再び学術雑誌へ投稿した。この結果を一部条件付きで改良する見通しも立っており,これについても次年度に成果発表の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属大学のカリキュラム変更の影響で,本研究課題のエフォート(研究時間)が減少し,研究計画の進捗が遅れている。成果発表も完了していない。次年度にはエフォートは回復の見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
コラーゲン線維層形成過程の反応拡散モデル化は完了しているため,関西学院大学・大崎浩一准教授ら研究協力者らとの研究打合せを重ねて,理論解析と計算機シミュレーションを進め,実証実験との比較を行う。次年度7月に開催予定の国際会議において成果発表を行い,論文執筆を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
エフォートが減少したため,理論解析と計算機シミュレーション,それらの実証実験との比較,研究協力者らとの研究打合せ,国際会議等における成果発表が完了していない。 次年度にはエフォートは回復の見込みである。理論解析と計算機シミュレーション,それらの実証実験との比較のために,研究協力者らとの研究打合せを重ねる。さらに次年度7月に開催予定の国際会議において成果発表を行う。論文投稿も予定している。
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