研究課題/領域番号 |
23540126
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
真島 秀行 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (50111456)
|
キーワード | 建部賢弘 / 累遍増約術 / 円周率 / 行列式 / 関孝和 / 享保日本図 / 綴術算経 / 交会法 |
研究概要 |
1.関新助孝和の「解伏題之法(天和三年重訂)」,「大成算経第17巻伏題」及び新発見の「算学玄訓」で扱っている現代数学的には終結式・行列式のことについて京都大学数理解析研究所講究録別冊に鍵となる論点をまとめたものが出版されるが詳しい本論文を執筆中である. 2.関孝和の『括要算法』の第四巻にある円周率の近似値計算に対して,「綴術算経」(内閣文庫本)で「始関氏増約の術を以て定周を求る事を理會して一遍にして止む故に十三万千七十二角に到る截周を求て十五六位(「建部先生綴術真本」(東大本)及び「綴術算経(東北大学 狩野本)」では「二十許位)の真數を究め得たり今累遍増約の術を用る事を探り會して千二十四角に到る截周冪を求て四十餘位の真數を究む是亦首より増約累遍を用る事を察すへからす一遍の増約を用て後玄く探て累遍する事を會せり」と述べ,さらに建部賢弘の著と考えられる「弧背截約集」の上巻には円周率の計算表が掲載されている.これらを考え合わせ,どのような数値計算から一連の階差の比の予想を立て「累遍増約術」の発想を得たか口頭発表しているが論文にまとめている.また関連して和算における帰納法についての論考も得た. 3.江戸幕府八代将軍徳川吉宗から元禄日本総図を改良するように命令を受け享保日本図を作成したことが史実として知られ,建部賢弘が書いた「日本絵図仕立候一件」などによれば,元禄以前に作成された各国の国絵図を元にいくつかの目標の山の方角を合わせるやり方であり、今日「(望視)交会法」と言われる.現代数学の多様体を「チャート」から「貼り合わせ」て構成するのと同様のやり方であり詳細を明らかにしようとしている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初に計画した享保日本図の研究まで進み,「鉄術算軽」の附録の問題から,和算における帰納法についての論考も得ているが,前年度までに得ていた終結式と行列式と累遍増約術の発想に関する論文の詳細版はまだ出ていないので.
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き資料収集しこれまで同様、調査資料を検討し,まとめを促進し,新たな知見も加え例年参加している学会等で発表を行う. また“Traditional Mathematics of East Asia and Related Topics ”(通称“Takebe Conference 2014”)を8月末にお茶の水女子大学で開催予定であり,講演会に展示会を付随して開催するなどし,そこで成果発表を行う. 海外から何人か講演者を招待し,情報提供も受け研究の推進を図る.
|
次年度の研究費の使用計画 |
ICM2014が韓国ソウルで開催される年でICM2014のサテライト・コンファレンスとして、”Traditional Mathematics of East Asia and Related Topics ”(通称“Takebe Conference 2014”)が採択されているが,海外からの講演者が全講演者の三分の一以上であることが条件となっている.国内組織委員会委員の一人として講演者の招聘旅費を積み立てておく必要があった. ”Traditional Mathematics of East Asia and Related Topics ”(通称“Takebe Conference 2014”)を8月末にお茶の水女子大学で開催予定であり,講演会に展示会を付随して開催し.海外からの講演者の招聘旅費に充てる。
|