1.平成23、24年度に報告しているように「関孝和の行列式」の発想の源、まとめ方について研究を進展させることができた. 2.平成25年度に建部賢弘が円周率計算に使った「累遍増約術」がどのような発想から生まれたか考察した.関孝和の『括要算法』の第四巻にある円周率の近似値計算に対して,「綴術算経」(内閣文庫本)、「建部先生綴術真本」(東大本)及び「綴術算経(東北大学 狩野本)」、さらに建部賢弘の著と考えられる「弧背截約集」の上巻には円周率の計算表が掲載されている.これらを考え合わせ、どのような数値計算から一連の階差の比の予想を立て「累遍増約術」に至ったか、その発想の源を探った。 3.これらについてさらに論考を加えて、平成26年8月にお茶の水女子大学で開催した“Traditional Mathematics of East Asia and Related Topics ”(通称“Takebe Conference 2014”)に発表した。 4.江戸幕府八代将軍徳川吉宗から命を受け享保日本図を作成したことが史実として知られていたが,どのような地図であったかはよく知られていなかったが、広島県立歴史博物館の寄託資料が最近発見され、国際研究集会に合わせて開催した「建部賢弘生誕350周年記念展示会」で展示し、どのような方法で作成したか研究するとともに一般に公開した. 5.前後するが、第10回全国和算研究大会を建部賢弘の生涯と業績をテーマとして開催し、これまでの研究について概説的な発表を行った。
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