研究課題/領域番号 |
23540128
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
磯貝 英一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40108014)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 2段階法 / 信頼区間 / 最小リスク / 漸近有効性 / 正規分布 / 指数分布 |
研究概要 |
本研究の目的は高次の漸近有効性の観点から2段階法と純逐次法の効率の比較および逐次手法の開発と改良に関する理論的研究およびその応用を扱うことである。今年度の研究計画に記載されている問題の1つである正規分布および指数分布に関する信頼区間問題と最小リスク問題について、これまでに提案された2段階法の1つを取り上げ、その高次の漸近有効性について研究を進めた。従来、2段階法は2次の漸近有効性をもつことが知られていたが、今回の研究ではさらに高次である3次の漸近有効性をもつという研究結果を得ることができたことは大変意義深い。 1つ目の問題として、位置母数と、共通の尺度母数がともに未知である2つの負の指数母集団において、与えられた一定幅と信頼係数をもつ位置母数の差の信頼区間問題を考えた。共通の尺度母数の下界の1つが既知である仮定の下でMukhopadhyay and Duggan (1999)が提案した2段階法について、平均標本数と被覆確率の3次の漸近展開式を与えることができた。従来は2次の漸近展開式までが求められていたが、この結果をさらに精密化することができたことは重要である。また3次の漸近展開式は2次のそれよりも精密であることがシミュレーションにより確認できた。この研究成果はPioneer Journal of Theoretical and Applied Statistics (2012)に掲載予定である。 2つ目の問題として、母平均と母分散がともに未知である正規母集団において、2乗誤差と標本抽出の費用の和を損失とする最小リスク問題を扱った。分散の下界の1つが既知である仮定の下で、2段階法が2次の漸近有効性を持つことは知られていたが、今回の研究ではより高次の漸近有効性をもつことを示すことができた。この研究成果はStatistics (2012)に掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正規分布および指数分布に関する信頼区間問題,最小リスク問題,有界リスク問題について,2段階法と純逐次法の高次の漸近有効性を調べることが大きな目標の1つであった。今年度は特に2段階法を扱った。2段階法の漸近有効性に関する従来の研究結果を整理し、その結果に基づいて目的とした問題を考えた。1年間で解決できる問題は限られているので、今年度は正規分布および指数分布に関する信頼区間問題,最小リスク問題に焦点を当てて、問題の解決を図った。結果的には絞り込んだこれらの問題を解決することができ、従来の結果を精密化することができた。これらの研究成果は2つの学術雑誌に掲載される予定である。したがって、1年間で得られた研究成果としてはおおむね満足できると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度で扱うことができなかった問題について考える。具体的には、正規分布の母分散に関する最小リスク問題、指数分布の母平均に関する最小リスク問題である。特に2段階法を考え、その高次の漸近有効性について研究を進める。また一般の連続分布について2段階法と純逐次法の漸近有効性を研究し、その相違点を考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた外国出張が大震災が発生したため、相手との日程が合わず中止せざるを得なかった。そのことが当該研究費の次年度繰越につながった。次年度は中止した外国出張を実現するとともに、次年度に得られる研究成果を国内外の学会で発表する旅費や研究打ち合わせ旅費として研究費を使用する。
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