研究課題/領域番号 |
23540128
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
磯貝 英一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40108014)
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キーワード | 2段階法 / 純逐次法 / 逐次信頼区間 / 最小リスク / 有界リスク / 高次漸近有効性 |
研究概要 |
本研究の目的は正規分布,指数分布および一般的な連続型分布について高次漸近有効性の観点から2段階法に関する理論的研究とその応用を扱うことである。 第1の問題として,分散は未知であるがその下界の1つが既知である正規分布の母平均の信頼区間問題を考えた。与えられた区間幅と信頼係数を同時に満たす信頼区間を求めたい。標本の大きさを固定するとこの問題は解決できないことが知られている。 そこでMuhkopadhyay and Duggan (1997)が定義した2段階法を用いて逐次信頼区間を与えた。このとき,被覆確率および平均標本数に関する(等式の意味で)正確な3次の漸近展開式を得ることができた。この結果は従来知られている結果をより精密化した点で優れた結果であり,国際的学術雑誌に掲載された。 第2の問題として,母平均の1つの下界が既知である仮定の下で母平均に対する最小リスク問題を扱った。リスクを最小にする標本の大きさは未知であるので,2段階法を定義し,その有効性を測るリグレットを求めた。この結果,リグレットの正確な2次の漸近展開式を得た。従来は不等式で表現されていたが,等式が得られた点で優れている。この結果も国際的学術雑誌に掲載された。 第3の問題として,より一般的な2段階法を定義し,その漸近有効性について論じた。これらの結果は正規分布の母平均に対する有界リスク問題,負の指数分布の位置母数に対する信頼区間問題,有限個の正規分布から最良のものを選ぶ最良選択問題などに応用できることを示した。これも国際的学術雑誌に掲載済みである。 この他に,共通の未知な尺度母数を持つ2つの負の指数分布の位置母数の差に対する信頼区間問題を考え,2段階法を用いて信頼区間を定義し,被覆確率の正確な2次の漸近展開を与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連続型分布の代表例である正規分布および指数分布の母平均,母分散,位置母数の差などに関する信頼区間問題,最小リスク問題,有界リスク問題を考え,2段階法を定義して,その高次の漸近有効性を調べることが研究目的の1つである。前年度に達成できなかった問題に挑戦し,そのいくつかを解決することができた。いずれの問題でも正確な2次の漸近展開式が得られたことが大きな成果である。1年間の研究を通して5編の論文が国際的学術雑誌に掲載されたことは研究の達成度としてかなり十分であると思う。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究目的が達成できていない課題についての研究を進めることである。離散型分布に関する2段階法および純逐次法の適応とそれらの漸近有効性の議論,ノンパラメトリック確率密度関数に対する純逐次法の応用と漸近有効性の考察が主な研究課題である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の残された研究課題を解決するために次年度の研究費を活用する。研究の打ち合わせ,研究成果の発表,論文の投稿が主な研究費の使い道である。
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