研究代表者が得た研究成果を以下に列挙する。 1.未知な2母数指数分布の位置母数の信頼区間問題について尺度母数の下界の一つが既知であると仮定する。区間の幅と信頼係数が与えられたとき信頼区間の被覆確率がこの条件を満たす最小の標本数には未知な尺度母数が含まれるので利用できない。そこで,二段階法を用いて平均標本数及び被覆確率の高次漸近展開式を求めた(J. Statist. Plann. Inference (2011))。また,位置母数がゼロのとき,母平均の最小リスク点推定問題において二段階法を利用してリスクと最小リスクの差であるリグレットの2次の漸近展開式を与えた(International J. Statist. Probab. (2012))。さらに,二つの2母数指数分布における位置母数の差の信頼区間問題について共通の未知な尺度母数の下界の一つが既知のとき平均標本数と被覆確率の3次の漸近展開式を導いた (Pioneer J. Theor. Appl. Statist. (2012))。 2.未知な母平均と母分散を持つ正規分布において母分散の下界の一つが既知であると仮定する。母平均の最小リスク点推定問題において二段階法を用いて平均標本数及びリグレットの2次より高次の漸近展開式を求めた (Statistics (2013))。次に母分散の最小リスク問題に対してリグレットの2次の漸近展開式を導出した。偏り補正した推定量を提案し,その有効性も示した (J. Statist.: Advances in Theor. Appl. (2013))。さらに,母平均の信頼区間問題に対して二段階法を用いて平均標本数および被覆確率の3次の漸近展開式を与えた (Commun. Statist.-Theor. Methods (2012))。
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