研究課題/領域番号 |
23540132
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
永幡 幸生 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50397725)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 多種粒子系 / 流体力学極限 / スペクトルギャップ |
研究概要 |
流体力学極限の研究は,(巨視的な)流体の運動を,流体を構成している(微視的な)粒子系の運動法則から理解しようとする試みです.気体の運動を考えると粒子系の運動法則はNewtonの運動方程式に従う気体分子の超多体系で1つ1つの気体分子を見れば各々は他の気体粒子との相互作用により,ランダムに動いているように見えるでしょう.しかしながら,時間―空間に対して「良い」スケール変換をしてみれば決定論的なダイナミクス(流体の方程式)に従って時間発展しているように見えます.このように超多体系から時間―空間に対して「良い」スケール変換をすることにより決定論的な方程式を導出することを総称して「流体力学極限」と呼びます.この「流体力学極限」の問題を数学的に厳密に導出したいのですが,残念ながら現段階では困難でありますので,流体の方程式が導出されるメカニズムを保持しつつ,かつ数学的には厳密に「流体力学極限」をとることができるモデルを考えます.その1つのモデルが格子気体モデルです.本研究の目標である「多種粒子系の流体力学極限」を導出するときに問題を3つに切り分けて考えましたが、そのうち「多種粒子系のスペクトルギャップの評価」「中心極限定理の分散」の研究を行いました。これらの問題は「流体力学極限」の導出で鍵になる評価であると同時に、特に「スペクトルギャップの評価」はそれ自体だけ見ても、確率論として、解析学として重要な問題です。本年度の目標である「多種粒子系のスペクトルギャップの評価」に関して十分な結果を得て、論文にまとめました。またこのモデルに似た他の重要なモデル「simple exclusion processes with degenerate rate」に関しても同様なスペクトルギャップの評価を得ました。「中心極限定理の分散」に関して研究を進めました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「スペクトルギャップの評価」は予想以上の結果を得た。「中心極限定理の分散」に関してはほぼ計画通りの状況である。「コンピュータシミュレーション」が異動の関係で遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
「コンピュータシミュレーション」が少し遅れているが、その他の計画に関しては予定通り進んでいるので、当初計画とおり、「中心極限定理の分散」「拡散係数の滑らかさ」の問題に切り分けて、先行研究の方法などを取り入れつつ、順次進めていく。また「コンピュータシミュレーション」に関して、随時進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画通り、「中心極限定理の分散」「拡散係数の滑らかさ」の問題に切り分けて、順次進めていく。それに伴い、情報収集、ディスカッション、コンピュータシミュレーションを行い、結果が出次第、論文にまとめ、学会などで発表を行う。
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