研究課題
1)裾確率をキュムラントの情報を用いて計算する鞍点法の一つ:Lugannani-Rice公式を一般の確率変数の1-パラメータ族に適用した際の近似精度に関する理論的結果を得た。幅広く応用されているにもかかわらず、今日まで独立同分布確率変数列の和のような特殊なケースでしか理論的結果は得られておらず、重要な貢献と考えられる。更に計算機シミュレーションを通してのコンジェクチャーも提示した。(加藤恭氏、吉川健一氏との共同研究)2)フロアー制約を設けた最適投資・消費問題への凸双対法を開発した。双対問題が特異型確率制御問題になること、その"微分"にあたる最適停止問題の解を用いて最適解が記述できることを示した。被制御過程の状態空間に制約を設けた最適制御問題で最適制御の構成まで行っている研究は数少なく、興味深い貢献と考えられる。(Salvatore Federico氏、Fausto Gozzi氏との共同研究)3)部分情報下条件付き線形型コモディティ価格過程モデルを提示した。モデルは取り扱い易さと多様性を併せ持ち、フィルタリングの計算やデリバティブの効用無差別価格の計算を行った。(加藤恭氏、山本浩充氏との共同研究)4)タイムホライゾンが有限離散型停止時刻で与えられるデリバティブ(死亡率に連動する保険と金融の融合商品が想定される)の効用無差別計算手法を提示した。これは、動的計画原理とマルチンゲール表現定理を再帰的に組み合わせる技術的に興味深い解法である。(Hyejin Ku氏との共同研究)5)富過程が非線形なダイナミクスを持つ状況下(例えば、金利が富の大きさに連動して変変化する状況などを想定)でのデリバティブの価格付け、特に売却者側、購入者側双方に(限定的な)裁定機会が存在するための十分条件の提示を行った。金融実務で直面しているFVAなどの計算法に注意を促す結果も得られており興味深く思われる。(Thoednithi Kirati氏との共同研究)
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Asia-Pacific Financial Markets
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