研究実績の概要 |
平成26年度は、平成24年度に取り上げた、偏微分方程式を用いたフォーメーション制御(H. Sano, 2013)の一般化およびその数値実験的検証を行った。H. Sano (2013)では、フォーメーション制御(例えば、群ロボットのフォーメーション制御など)に対する集中定数系からのアプローチで、しばしば用いられている分散合意の常微分方程式系を、境界条件に時間微分が入った拡散方程式で近似し、境界上のディリクレデータおよびノイマンデータをシステムからの出力とする、境界制御・境界観測系の平衡状態への安定化問題を取り上げたが、平成26年度では、拡散方程式をスツルム・リゥヴィル型作用素によって記述される放物型偏微分方程式に置き換えた問題を考察した。このように、作用素を一般化することで、達成し得るフォーメーションの形状をより一般化できる。このシステムに対し、H. Sano (2012)と同様の手法を用いて、有界入力作用素と非有界出力作用素を有する発展方程式系として定式化し、モード展開を行うことにより有限次元モデルを導出した。そして、その有限次元モデルが可制御かつ可観測になることを示し、剰余モードフィルタ(RMF)を含む構造をもつ有限次元コントローラによって、平衡状態への安定化が達成できることを半群理論を用いて示した。さらに、Matlabを用いた数値実験を行い、構成された制御則の有効性を検証した(H. Sano, 2015)。 研究期間全体を通じて「ディリクレ境界制御・ディリクレ境界観測を伴うカップリングした1次元移流拡散方程式系の制御問題」が主要なテーマであったが、早い段階で研究成果(H. Sano, 2012年)を得ることができた。その後、それを基にして研究を進めていくことができ、フォーメーション制御、混合定数系や並流型熱交換プロセスの制御などの、一連の研究成果を得ることができた。
|