研究課題/領域番号 |
23540146
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
藤田 景子 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (40274568)
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キーワード | 逆問題 / 信号源分離 |
研究概要 |
これまでの時間周波数情報の商を考察する我々の信号源分離の手法での問題点の幾つかを数学的に明確にした。一つには信号源の数が増えると分離が難しくなる根拠をその背景にある数学の理論における誤差評価をもとに示した。7月に西安で開催された国際会議 ”Wavelet Analysis and Pattern Recognition では、このような我々の手法の問題点に関して”Remarks on a method to estimate the number of sources in blind source separation”のタイトルで研究発表を行った。研究発表の内容は議事録として掲載されている。この会議においては発表したセッションでの講演の約半分の講演に対して座長も務めた。また、7月に東京大学で開催された国際会議”Geometric Complex Analysis Tokyo 2012”でも同様の内容で”Complex Analysis related to the blind source separation problem”のタイトルで研究発表を行った。そして、11月15日には富山大学理学部数学教室談話会では数学の応用の身近な実例と数学の重要性を伝えるために”信号源分離に関連する時間周波数解析”の題でこれまでの研究の概要を話した。その後、富山大学大学院理工学研究部への移動が決まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
怪我で2回入院し手術したことや職場の移動が決まりその雑用などで研究のための時間が取り難かったことや、怪我のため出張の取り消しをしなければならなくなり情報交換の機会も減ったため思うように進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ウェーブレット変換などにより時間周波数情報を利用して信号源分離を行う際に重要な過程は、信号源の数を推定することである。我々が信号源の数の推定に用いる手法は、観測信号を時間周波数空間に変換して2つの観測信号から得られた時間周波数情報の比を考えることであるが、この方法では信号源の数が増えると分離が難しくなるなど幾つかの問題点がある。以前、球面上の解析汎関数のフーリエ・ボレル変換の研究を行っていたことがあり、球面上の関数は球面調和関数を用いた展開式で表示でき変換像も球面調和関数の持つ性質からその特徴を捉えやすい。そして、ウェーブレット変換の一つであるガボール変換は窓関数としてガウス関数を掛けたフーリエ変換と同等であることから、まず、球面上の関数のガボール変換像を球面調和関数を用いた展開式で表示することでその性質を調べ我々の手法の欠点が改善されないかの考察を試みる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費:研究発表や情報収集のために以下にあげる研究集会をはじめとした研究集会に参加するための旅費に使用する。 5月8日から11日まで東京で開催される国際会議”Information”に参加して研究発表を行う。また、8月5日から10日までポーランドのクラコフで開催される国際会議”ISAAC 2013”では、研究協力者の大阪教育大学守本晃准教授とセッション ”WAVELET THEORY AND ITS RELATED TOPICS ”を企画した。そこでも研究発表を行う予定である。9月には応用数理学会年会がアクロス福岡で、数学会が愛媛大学で開催される。10月には京都大学数理解析研究所で研究集会”ウェーブレット解析とサンプリング理論”が開催される。また、秋には例年、豊橋技術科学大学で開催されているワークショップや大阪教育大学で開催予定の”ウェーブレット理論と工学への応用”などがありこれらの研究集会に参加を予定している。さらに、3月には京都大学で開催される応用数理学会研究部会、学習院大学で開催される数学会年会もある。その他、不定期に開催されるウェーブレット研究セミナーなどへの参加も予定している。 消耗品費:研究関連図書、データ保存のためのハードディスクやUSBメモリー、コンピューター関連のソフトなどを購入する。 その他:論文投稿費、別刷り費用、会議の参加費などの経費が必要である。(”Information ”の参加費は35,000円、”ISAAC”の参加費は160ユーロ、応用数理学会の年会と研究部会の参加費が例年合わせて 6,000円位必要である)
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