研究課題/領域番号 |
23540149
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
家本 宣幸 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (70161825)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 位相的性質 / 正規 / 可算パラコンパクト / Vietoris位相 / 超空間 / 順序数 / 基本部分構造 |
研究概要 |
γを順序数とするとき、「γの空でないコンパクト集合全体の族にVietoris位相を入れた超空間 K(γ) が正規となる必要十分条件はγ の cofinality が可算であるか regular uncountable cardinal である」、「 K(γ) は常に可算パラコンパクトである」、「 K(γ) は常に強ゼロ次元である」、「自然数ωの空でない部分集合全体の族にVietoris位相を入れた超空間 2ωは正規でも可算パラコンパクトでもない」などが先行研究として知られている。本研究の第一の目的は「超空間2ω は可算メタコンパクトか?」という問題の解決の糸口を見つけることであった。本年度の研究でこの問題の同値条件を求めることができた。同時に積空間の理論で正規性に似た性質を持つことで知られているオルソコンパクトという性質を種々の超空間が持つか否かについていくつかの結果を得た。具体的には次のようなことが分かった。1. 順序数の超空間K(γ) がオルソコンパクトとなる必要十分条件はγ の cofinality が可算であるか regular uncountable cardinal である。2. 超空間2ω が可算メタコンパクトであることとオルソコンパクトであることは同値である。3. Sorgenfrey lineの超空間 K(S) はオルソコンパクトである。従ってSorgenfrey lineの二つの積もオルソコンパクトである。これらは国際的な雑誌に発表され、その集合論的な基本部分構造的手法による証明は高い評価を受けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の第一の目的は「超空間2ω は可算メタコンパクトか?」という問題の解決の糸口を見つけることであった。こ問題に関しては、完全な解答は得られていないが、この問題と同値な命題を見つけることができ、解決の突破口となることが期待されている。 第二の目的であった「順序数γにいろいろな超空間位相を入れた2γ、K(γ)、F(γ)はどのような位相的性質をもつか?」については、K(γ)のオルソコンパクト性が順序数γのcofinalityで特徴づけられることを示し、その結果、Vietoris位相の入ったK(γ)のオルソコンパクト性は正規性と同値であることを示した。 以上のように当初の目的に沿って、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究の中で、可算cofinalityを持つ順序数γの超空間の位相的性質を調べることが意外と難しいことがわかった。次年度は本研究の第一の目的「超空間2ω は可算メタコンパクトか?」及び第二の目的「順序数γにいろいろな超空間位相を入れた2γ、K(γ)、F(γ)はどのような位相的性質をもつか?」の解決を視野に入れながら、可算cofinalityを持つ順序数γの超空間の位相的性質を重点的に調べたい。具体的な問題として、可算cofinalityを持つ順序数γの超空間2γが強ゼロ次元になるのかどうかについても、解決の糸口を見つけたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究を遂行するために、この分野の情報収集が必要となる。そのため国内の研究集会に出席し最新情報を収集したり、他大学に出向き資料収集や研究打ち合わせをしたい。また、専門家をこちらに呼んで最新情報の提供をしてもらうことも考えている。九州からでは関東方面や関西方面に出向くにも思わぬ旅費が必要となり、次年度の研究費のかなりの部分は旅費として手当てをしたい。また、地方大学での研究にはインターネットによる情報収集や意見交換も威力を発する。そのため古くなったデスクトップパソコンを更新したい。
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