研究課題/領域番号 |
23540149
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
家本 宣幸 大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (70161825)
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キーワード | 超空間 / 順序数 / Vietoris位相 / 強ゼロ次元 / elementary submodel |
研究概要 |
空間Xの閉集合(コンパクト集合)全体の族にVietoirs位相を入れた超空間を2X(K(X))と表す。先行研究としてγを順序数とするとき「2γが正規であることの必要十分条件はγのcofinalityは1である」、「K(γ)が正規であることの必要十分条件はγのcofinality が可算であるか非可算regular である」、「2ωは強ゼロ次元である」や「K(γ)は常に強ゼロ次元である」が知られている。「2γは常に強ゼロ次元である」かどうかはわかっていない。 本研究の問題IIに関し、順序数の超空間の強ゼロ次元性について次のような部分解を得た。 1.K(γ)が2γでC*-embeddedである必要十分条件はγのcofinalityがωではないことである。 2.γのcofinalityがωでなければ、2γは強ゼロ次元である。 1.では、Glicksbergの定理を利用した通常の証明とelementary submodelを利用した集合論的な証明を与えることができた。γが非可算でcofinalityがωの時、2γが強ゼロ次元かどうかは未解決のままである。この問題は本研究の問題I「2ωは可算メタコンパクトか?」と密接に関係することが予想され、ωのStone-Cechコンパクト化との関連性について調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の第一の目的は「2ωは可算メタコンパクトか?」である。本年度は第二の目的「いろいろな超空間位相を入れた順序数の超空間はどのような位相的性質を持つか?」に関連して強ゼロ次元について一定の結果を得た。強ゼロ次元ついての未解決問題と本研究の第一の目的とが密接に関係しそうなことがわかり、それを解決する糸口はωのStone-Cechコンパクト化ではないかという予想の下に研究が遂行されている。 以上のように当初の目的に沿って、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究から、本研究の第一の目的「2ωは可算メタコンパクトか?」を含め、可算cofinalityを持つ順序数の位相的性質を調べることが意外に難しいことがわかった。これまでは、それを解く手がかりが無かったが、最近の研究の過程でωのStone-Cechコンパクト化の理論の中に手がかりがあるかもしれないという確信を得つつある。今後はこの確信の下に、ωのStone-Cechコンパクト化の理論の洗い直しをし、特に、ωのStone-Cechコンパクト化のremainderのP-pointの存在を仮定したとき、2ωはどのような位相的性質を持つかを調べたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究を遂行するため、今回は特にのStone-Cechコンパクト化に関する情報収集が必要になる。Stone-Cechコンパクト化は位相空間論の分野にも集合論の分野にも研究者が多く存在しているので、両分野の研究集会に出席し最新情報を収集したい。また、他大学の研究者の元に出向き、研究打ち合わせや資料収集をしたり、逆に専門家をこちらに呼んで最新情報を提供してもらう。九州と関東・関西方面の間の往復には思わぬ旅費が必要で、次年度の研究費のかなりの部分は旅費として確保したい。また、地方大学から、国内外の研究者との交流にはインターネットが威力を発する。そのため、ネット環境の充実を図りたい。
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