研究概要 |
本研究の目的は共形ガリレイ代数(以下CGA)というリー代数の表現論を発展させ、その物理系への応用を行うことである。考える物理系が存在する空間の次元 d とスピン l を指定すると CGA がひとつ定義される。表現論の重要な問題のひとつに既約表現を分類することがある。本年度の研究で d=2, l=1 の CGA, d=1 で l が任意の半整数である CGA の既約表現の分類に成功した。d=2, l=1 の CGA の表現論の応用として、CGA が生成する座標変換で不変となる偏微分方程式を導出した。さらに、d=1 の CGA の研究の副産物として1997年に提唱された CGA の表現に関する予想が正しいことを示すことができた。 また、 CGA を超対称化した代数に対しても既約表現の分類をすることができた。この代数も (d,l) を与えることで定義されるが、今回分類に成功したのは d = 1,2,3 で l = 1/2 の超対称 CGA である。 以上は有限次元の代数であるが、CGA は容易に無限次元に拡張することができ、さまざまな拡張がしられている。そこで、Martelli と Tachikawa が導入した d=2, l=1 に対応する無限次元 CGA の既約表現の分類を行い、特別な場合を除いて Verma 加群が既約であることを示した。また、この代数の Heisenberg 演算子による表現を与えることができた。 以上のように、これまであまり研究されてこなかった種類のリー代数、およびそれを超対称化、無限次元化したものの表現論を押し進めることに成功した。
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