研究課題/領域番号 |
23540154
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
會澤 成彦 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70264786)
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キーワード | 国際研究交流(インド、ブルガリア) / リー代数 / 表現論 / 微分方程式の対称性 |
研究概要 |
本研究の目的は共形ガリレイ代数(以下CGAという)というリー代数の表現論を発展させ、その物理系への応用を行うことである。考えている物理系の存在する空間の次元dと整数、または、半整数値をとる変数lを指定することで、CGAがひとつ定義される。表現論の重要な問題のひとつに、既約表現の分類がある。昨年度の研究で、lが任意の半整数であるCGAの既約表現の分類を得た(ただし、d=1に限る)。その結果の応用として、それらのCGAが生成するリー群による変換で対称であるような偏微分方程式の階層を導いた。この結果をさらに、d=2、かつ、任意のlに対するCGAにまで拡張し、それらのCGAが生成するリー群を対称性として持つ偏微分方程式の階層を得ることができた。また、この研究において、d=2、かつ、l任意のCGAのヴァーマ加群の可約性についての知見を得ることができた。 CGA研究の眼目のひとつに、CGAを超対称化したリー代数を定義することがある。変数lの値が小さい場合には、CGAの超対称化が具体的に与えられていたが、任意のlに対しN=2の超対称CGAを定義することに成功した。また、それらの代数の表現のひとつを与え、それらの代数をdynamical algebraとして持つ量子力学系を見出した。 以上は有限次元のCGAに関する結果であるが、CGAを無限次元リー代数に拡張したものがいくつか知られている。MartelliとTachikawaが導入した無限次元CGAとそのリー群のcoadjoint表現について研究し、その具体形、および、coadjoint orbitのいくつかを導くことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画では、有限次元あるいは無限次元CGAの表現論をある程度発展させたのち、物理的応用や超対称化の研究することとしていた。しかし、実際には表現論を発展させるのと同時に、偏微分方程式系や量子力学系への応用に関する成果も得られており、さらには、超対称化も任意のlにたいし成功している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に列挙した項目の多くに対し、順調に成果を得ているが、まったく手つかずのものがひとつ存在する。それはCGAの表現、あるいは、CGAが生成するリー群の表現と直交多項式の関連である。このテーマに関する研究は(d,l)=(1,1/2)のリー群の表現と行列直交多項式の関係を論じた論文がひとつあるだけで、ほとんど手つかずの状態である。平成25年度はCGAの表現と直交多項式の関連に重点をおいた研究を行いたい。また、CGAを無限次元化した代数は何種類もあるにも関わらず、l=1/2に対応するもののみが研究されていて、他の物は本研究で取り上げたもの以外は手つかずである。無限次元のCGAの表現に関し、いろいろなバージョンの無限次元CGAを調べてみたいと思っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度国際会議への参加を2回計画している。また、海外の研究者を招聘し、CGAの表現と直交多項式の関連についての共同研究を予定している。これらのための費用が研究費の主な用途である。
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