研究概要 |
研究目的に書いたように通常ダイマー配置が考えられる二部グラフに辺を追加することにより、二部性が崩れたグラフの上でのダイマー配置を考えると、不純物と我々が呼ぶダイマーが含まれるダイマー配置を得る。主たる研究目的は複数個の不純物を含むダイマー配置の総数を計算する方法を得ることと不純物の分布の特徴について研究することであった。これについてある程度の進展が得られた。ダイマー配置の数え上げを全域森と呼ばれる部分グラフの数え上げに還元し、この全域森の個数をS.Fomin,R.Kenyon,D.Wilsonらによる新しい結果を用いて数える方法を見出した。この方法については論文を執筆し、J. Statistical Physics誌に投稿し、採録されることが決定している。2012年6月に京都大学数理解析研究所で開催された研究会"numeration and substitution"において研究成果の一部を報告した。また2013年3月に京都大学数理解析研究所において開催された研究会 "Markov Chains on Graphs and Related Topics" において研究成果の一部を報告した。 共同研究者の学習院大学中野史彦氏と定期的にセミナー・研究打ち合わせを行った。また、琉球大学石川雅雄氏と2度の研究打ち合わせ、セミナーを琉球大学において行った。代数的組合せ論的な新しい視点からの問題意識を得ることが出来た。 しかし、得られた結果は限定的な状況でのみ成立する性質を記述する定理であり、代数的組合せ論、可積分系などの新しい成果を取り入れて研究を進展させる必要があると考えられる。今後の課題としたい。
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