研究概要 |
最終年度 最終年度は不純物を含むダイマー模型に関する研究はあまり進展しなかった。最終年度にはダイマー模型との関係から、繰り上がり過程と呼ばれる確率過程の研究を開始した。これとダイマー模型の関連についてはA.Borodi,P.Diaconis,J.Fulmanによる解説論文がBulletin of the American Mathematical Societyに掲載されている。いくつかの結果を得ることが出来、結果を2014に開催される国際会議Formal Power Series and Algebraic Combinatoricsで発表することが決まっている。 期間全体 申請時に研究目的には複数の不純物を含むダイマー模型について研究すると書いた。これらは部分的にはうまく行き、特殊な条件のもとで、行列式を用いた分割関数の表示を与えることが出来た。これはloop erased random walkに関するS.Formin氏の結果からヒントを得ている。具体的には分割関数をhitting matrixと呼ばれるあるグラフ上のランダムウォークの到達確率に関連する行列の小行列式を用いて表示することが出来た。この結果は2013年にJournal of Statistical Physics誌に掲載された。しかし、これらの結果が成立する 制約条件は強く、一般化や拡張への糸口がいまのところつかめておらず、改めて問題の難しさを認識した。
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