グラフの因子問題とは、与えられたグラフに対して、特定の性質をみたす全域部分グラフを見つけるという問題である。全域部分グラフとは、与えられたグラフのすべての点と一部の辺からなるグラフのことである。本研究の目的は次の3 点の成果を上げることであった。 (1) グラフ全体でもつ構造がグラフの一部分にもあり得るかを研究し、グラフの全体で知られている性質との関連性を追及していく。(2) グラフの全域木の構造を様々な角度から検証し、その存在定理の解決方法を提示する。(3) 上記2点の融合を提案し、新たなグラフの方向性を示す。 平成23年度は(1)をテーマとし、平成24、25年度は(2)をテーマとして研究に取り組んだ。その結果、フローフリーグラフにおいて、端点の個数を制限したグラフの木に関する次数条件を示すことができた。従来,本テーマを取り上げた結果がほとんどなかったので,この結果はグラフの木に関するテーマについて、新たな方向性を示す重要な結果と言える。 また、最終年度は(3)に集中し、研究代表者も研究分担者もグラフの木に関する結果を得ることができた。特に、研究分担者の共同研究によって得られた結果は,グラフの木と閉包との融合性を見出した重要な結果である。
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