本研究では,量子系のエントロピー理論と量子チャネル理論の研究を基に,量子チャネル符号化の定理の証明に必要となる数理的基礎の構築を目的に,以下のような課題研究を実施した。 量子テレポーテーションなどの量子エンタングルメントを含む量子チャネルの特徴付けを行い,(1)量子干渉チャネルに対する量子相互エントロピーの性質を調べた。(2)量子平均相互エントロピーの定式化を基に,種々の量子符号状態の量子平均相互エントロピーを計算した。さらに,Ohya-塚田-Umegakiの定理を遷移期待値や条件付き期待値を用いて,より一般的な量子系に拡張し,量子チャネル符号化の定理の証明に必要な基礎研究を実施した。
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