研究課題/領域番号 |
23540164
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
池田 宏一郎 法政大学, 経営学部, 教授 (60332029)
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キーワード | モデル理論 / ジェネリック構造 / Lachlan予想 / 安定性理論 / 数理論理学 |
研究概要 |
本研究では、最終的にLachlan予想の解決に近づくために、2つの目標を設定した。 1つめの目標である「非飽和ジェネリックモデルの分類」については、平成23年度から引き続いて研究を行い、ほぼ目標を達成することができた.すでに平成23年度において「真に超安定なジェネリック構造が存在するか」というBaldwinの問題を,非飽和ジェネリック構造を用いて解決することに成功したが、平成24年度においては、神戸大学の桔梗氏との共同研究により、強い意味でのBaldwinの問題に関しても解決することに成功した。この結果は論文としてまとめられ,査読付き論文として海外雑誌Archive for Mathematical Logicに掲載された。また、イリノイ大学のBaldwin氏との共同研究により、飽和ジェネリックモデルはある種の順序性(SOP_4)をもちえないことを証明することができた。この結果は論文としてまとめられ、京都大学数理解析講究録に掲載された。その後,この結果に関して,さらにBaldwin氏と共同研究を進め,得られた結果をまとめた内容をメリーランド大学のMaryland Logic Seminarで発表した。この結果に関しては、論文にしてまとめ海外雑誌に投稿する予定である。 2つめの目標である「Lachlan予想へのアプローチ」に関しては、(通常の)ジェネリック構造ではLachlan予想の反例を構成できないという結果を得ることができた。この結果は、イリノイ大学のUIC Logic Seminarで発表された。しかし,結果自体はまだ改良の余地があるので論文としてまとめるには至っていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の目標のうち、一つめの目標である「非飽和ジェネリック構造の分類」に関しては、ほぼ目標を達成し、論文にまとめ海外雑誌に掲載することができた。2つめの目標である「Lachlan予想へのアプローチ」に関しては、解決の糸口になる結果を証明することができ、イリノイ大学のセミナーで発表した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度では、最終目標である「Lachlan予想へのアプローチ」に少しでも近づきたい。平成24年度の結果により、今までのジェネリック構造ではLachlan予想の反例が作れないことがわかった。一方、ソボレフ数学研究所のSudoplatov氏は一般化されたジェネリック構成法を提唱しており、イリノイ大学に研究打ち合わせをした際に今後の研究の指針が得られた。よって、今後はSudoplatov氏、Baldwin氏に加え、Lachlan予想の専門家であるリーズ大学のPillay氏、筑波大学の坪井氏と研究打ち合わせをするなどして研究を進め、最終的には得られた結果を海外の研究集会で発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
6月にイタリアで開催されるモデル理論の研究集会に参加し、リーズ大学のPillay氏らと研究打ち合わせを行う。また、7月にポルトガルで開催されるヨーロッパ論理会議で、Baldwin氏との共同研究の結果を発表する予定である。また、8月には国内で開催されるモデル理論研究集会において、国内のモデル理論研究者とともに、そのときまでに得られた研究結果について意見を聞き再検討する。最後に2014年1月にバークレーで開催されるモデル理論研究集会で、最終的に得られた結果を発表する予定である。
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