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2011 年度 実施状況報告書

巨大基数を指向しないPκλ上のイデアル論

研究課題

研究課題/領域番号 23540167
研究機関神奈川大学

研究代表者

阿部 吉弘  神奈川大学, 工学部, 教授 (10159452)

研究分担者 薄葉 季路  名古屋大学, 高等研究院, 特任助教 (10513632)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードPκλ / イデアル / 有界集合 / 上限関数 / 双対フィルター / 濃度 / 強到達不能基数
研究概要

研究目的ごとに得られた結果を箇条書きで述べる。[1]強正規イデアルと正規イデアル:(1)Pκλの標準的埋め込みによる像は、κが強到達不能基数のときに限り非有界であり、κが Mahlo 基数のときに限り stationary である。(2)最小の強正規イデアルに属さない集合の像は強 stationary で、有界集合の像は有界であるようなPκλの埋め込みは、標準的なものしかない。[2]Pκλ上のイデアルの構造理論:(1)κ上では、有界集合の像は有界であるため、有界イデアルの像は、κの像へ有界イデアルを制限したものである。PκλからPκλへの関数 f で、有界イデアルの像が、Pκλの像への有界イデアルの制限にならないものを構成した。(2) f による非有界集合 A の逆像 B が有界イデアルの双対フィルターに属し、B の任意の部分集合 X に対し、X が有界なことと X の像が有界なことが同値ならば、f による有界イデアルの像は、A への有界イデアルの制限である。(3)弱正規イデアル I の双対フィルター F 上で上限関数が1対1で、f が有界イデアルを保存ずるならば、f は F 上で1対1である。[3]非有界集合の組み合わせ論的性質:(1)λが正則で、濃度λの非有界部分集合が存在するならば、ある非有界な集合上で上限関数は1対1である。(2)非有界集合 X の濃度の cofinality がκより大きいならば、X の有界部分集合で X と等濃度なものが存在する。(3)κが強到達不能基数でPκλの濃度がλならば、非有界部分集合 X で、X の任意の2元 x, y に対し、x が y の部分集合ならば x の濃度は y とκの共通部分の濃度より小さいものが存在する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

イデアルの構造理論に関しては着実に成果を積み上げてきており、残り2年間である程度整った理論を構築できると踏んでいる。一方、非有界集合の性質の究明は困難を極めている。正規性を仮定しないと、あまりにも多くの可能性があって、まとまった結果とならない。しかし、これはある程度予期していたことで、多くの成果が得られない可能性は申請書にも述べていた。本研究の波及効果として、分担者は組み合わせ論に関する多くの結果を示しているし、Pκλに関する新しい知見を代表者もいくつか得てている。以上を総合すると、順調な進展とは言い難いが、若干遅れている程度と思われる。

今後の研究の推進方策

各研究目的に対して、次の点を重点的に研究する。[1]:(1)Pκλの標準的埋め込みは強正規性を保つので、強正規でない正規イデアルの振る舞いを研究する。(2)イデアルが正規イデアルに拡張できるという性質と、強正規イデアルへの拡張可能性の間に差異があるかを調べる。[2]:有界イデアルを保存する関数 f:Pκλ→Pκλのみを対象にした構造理論を構築する。κ上のP-ポイント、Q-ポイント等は、この理論の枠組みに含まれるので、扱う関数を制限したからといって無意味なものではない。[3]:研究目的[1]、[2]の遂行上で浮かび上がってくる組み合わせ論的性質を満たす、stationary ではない非有界集合が存在するか調べる。加茂静夫(大阪府立大名誉教授)と塩谷真弘(筑波大)を連携研究者とする。Logic Colloquium 2012 (マンチェスター)等、海外での成果発表を2回以上行い、情報の収集に努める。9月と2013年3月に若手研究者(分担者も含む)を神奈川大学に招いてセミナーを行う。春秋の日本数学会の定例会、12月のRIMS研究集会等で全メンバーによる研究打ち合わせを行うほか、できる限り多く直接ディスカッションする機会をもち、研究を進めていく。

次年度の研究費の使用計画

前年度からの繰越金は、分担者の所属している名古屋大学で、事務側の手続きに不手際があったため繰り越すことになった。今年度、分担者がトロント(カナダ)で行われる研究集会に出席する旅費に使用する予定である。その他に、少なくとも1回、海外での研究集会で発表するために外国旅費を支出する。特に更新を必要とする設備はないので、研究費のほとんどを国内の集会への旅費と、メンバーがディスカッションするために集まるときの出張費に計上する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] 現代集合論における巨大基数2012

    • 著者名/発表者名
      藤田博司, 薄葉季路
    • 雑誌名

      科学基礎論研究

      巻: 39 ページ: 33-42

  • [雑誌論文] Notes on Miyamoto's forcing axioms2012

    • 著者名/発表者名
      Toshimichi Usuba
    • 雑誌名

      数理解析研究所考究録

      巻: 1790 ページ: 60-64

  • [雑誌論文] Splitting stationary sets in P(λ)2012

    • 著者名/発表者名
      Toshimichi Usuba
    • 雑誌名

      Journal of Symbolic Logic

      巻: 77 ページ: 49-62

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Note on the partition property of Pκλ2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Abe - Toshimichi Usuba
    • 雑誌名

      Archive for Mathematical Logic

      巻: to appear ページ: -

    • 査読あり
  • [学会発表] Small semiproper posets2012

    • 著者名/発表者名
      Toshimichi Usuba
    • 学会等名
      FWF/JSPS joint seminar on Forcing and Set theory(招待講演)
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2012年1月28日
  • [学会発表] Games on complete Boolean algebras2012

    • 著者名/発表者名
      薄葉季路
    • 学会等名
      日本数学会2012年度年会
    • 発表場所
      東京理科大学
    • 年月日
      2012-03-27
  • [学会発表] Pκλの embedding について2011

    • 著者名/発表者名
      阿部吉弘
    • 学会等名
      日本数学会2011年度秋季総合分科会
    • 発表場所
      信州大学
    • 年月日
      2011年9月28日
  • [学会発表] 巨大基数と現代集合論2011

    • 著者名/発表者名
      薄葉季路
    • 学会等名
      科学基礎論学会2011年度総会(招待講演)
    • 発表場所
      愛媛大学
    • 年月日
      2011年6月5日
  • [学会発表] Skinny sets and the non-stationary ideal over Pκλ2011

    • 著者名/発表者名
      Toshimichi Usuba
    • 学会等名
      Aspects of Discriptive set theory(招待講演)
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2011年10月20日
  • [学会発表] 強制法と被覆の性質について2011

    • 著者名/発表者名
      薄葉季路, 吉信康夫
    • 学会等名
      日本数学会2011年度秋季総合分科会
    • 発表場所
      信州大学
    • 年月日
      2011-09-28
  • [学会発表] 強制法のもとでの被覆の性質の保存について2011

    • 著者名/発表者名
      薄葉季路, 吉信康夫
    • 学会等名
      第46回位相空間論シンポジウム
    • 発表場所
      静岡大学
    • 年月日
      2011-06-03

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公開日: 2013-07-10  

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