研究課題/領域番号 |
23540167
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
阿部 吉弘 神奈川大学, 理学部, 教授 (10159452)
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研究分担者 |
薄葉 季路 名古屋大学, 高等研究院, 特任助教 (10513632)
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キーワード | Pκλ / イデアル / 非有界集合 / 到達不能基数 / 濃度 / P-point / Q-point |
研究概要 |
研究目的ごとに述べる。 [1]強正規イデアルと正規イデアル:κが almostλineffable(強正規性)でもκが subtle(正規性)とは限らない。 [2]イデアルの構造理論:(1) P-point、Q-point、selectivityの妥当な定義を確定した。(2) 弱正規イデアルへの拡張可能性の組み合わせ論的特徴づけを行った。(3) Pκλの濃度より小さい非有界集合の生成するイデアルは bounded イデアルの局所化では得られない。 [3]非有界集合の組み合わせ論的性質:(1) ineffable 及び completely ineffable な集合は、分割の性質をもつ。(2) stationary な集合の局所反映原理は巨大基数的性質ではないが、同時反映原理は巨大基数的性質である。 研究目的には挙がっていないが、位相空間論への波及:(1) Kurepa 木の存在から次が導かれる;(i) weight が小さく size の大きい破壊不可能 Lindelof 空間の存在 (ii) 非可算基数の Borel conjecture の否定。(2) 到達不能基数を崩壊させたモデルでは、次の空間は存在しない;(i) weight が小さくsize の大きい破壊不可能 Lindelof 空間 (ii) seize が小さく character の大きい破壊不可能 countably tight 空間。(3) 2 番目の非可算基数が構成可能集合のなす内部モデルで到達可能ならば、seize が小さくcharacter の大きい破壊不可能 countably tight 空間が存在する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
イデアルの構造理論に関しては、基本概念を確定させたので、この1年である程度の枠組みを構成できると思われる。 非有界集合の性質の究明は、昨年度と同様に散発的な結果を得ているにすぎない。何らかの契機で、それらが結び合わされることを期待する。 本研究の波及効果として、分担者は位相空間論に関する強制法でいくつかの知見を得ているし、代表者はPκλにおける新たな視点を得ている。 以上から、全体的には若干の遅れをきたしていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
各研究目的ごとに、次の事項を重点的に研究する。 [1]:(1) 正規性を保つPκλの埋め込みを発見する。(2) 強正規イデアルへの拡張可能性の組み合わせ論的特徴づけを行う。 [2]:κ上の場合を参考にしながら、P-point、Q-point、selective ideal の理論を展開する。 [3]:上記の研究上で現れる組み合わせ論的性質をもつ、nonstationary な非有界集合の存在を、強制法も絡めて考察する。 加茂静夫(大阪府立大名誉教授)と塩谷真弘(筑波大)を連携研究者とする。アジア論理学会議(中国)等、複数の国際学会で発表し、併せて情報の収集にも努める。8月と翌3月に若手研究者を神奈川大に招いてセミナーを行う。日本数学会の定例会(9月、3月)、9月の RIMS 研究集会等で全メンバーによる研究打ち合わせを行うほか、可能な限り多くの直接ディスカッションをし、研究を遂行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度からの繰越金は、8月と来年3月に神奈川大で行うセミナーの茶菓子代に充当する。分担者はアジア論理学会議(中国)に招待されているので、少なくとも1回、外国旅費を支出する。 設備の更新はないので、研究費のほとんどを国内旅費に計上する。
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