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2012 年度 実施状況報告書

ラムゼー型分割問題の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23540168
研究機関湘南工科大学

研究代表者

中上川 友樹  湘南工科大学, 工学部, 准教授 (20386890)

キーワードラムゼー理論 / グラフ分割 / 誘導部分グラフ
研究概要

1. 重複誘導部分グラフラムゼー数
与えられたグラフの族 H* と正の整数 n に対して、重複誘導部分グラフラムゼー数 r(n,H*) を定義することができる。r(n,H*) は完全グラフのラムゼー数を一般化と考えられる。頂点数 k のグラフ H について,H*={K_k, K_kの補グラフ, H, Hの補グラフ} と置く。r(n, H*)を漸近的に決定した結果を論文としてまとめた(投稿中)。また、日本数学会秋季総合分科会において発表した。頂点数 k のグラフ全体からなるグラフの族を G_k と書く。 r(n, G_4) の漸近的決定を目標として、計算機によるr(n, G_4) の下界の探索を行った。現在までのところ、下界としては 6n+O(1) が最良であり、予想 r(n, G_4)=6n+O(1) を裏付ける結果となっている。
2. グラフの頂点集合の分割問題
k,mを正の整数とする。H を頂点数 k のグラフ,G を頂点数 n = km のグラフとする。G の頂点集合を m 個の k 点集合に分割するとき,各 k 点集合により誘導される m 個の部分グラフのうち,どのくらいの個数が H と同型になるかを考えたい。G における H の点素数区間 I(G,H) を { 0≦s≦m : ∃分割V(G) = V_1∪V_2∪…∪V_m, s.t. G[V_i] = H for 1≦i≦s, G[V_i] ≠ H for s<i≦m } と定義する。本研究では,主に H が完全グラフおよび完全2部グラフの場合について,与えられた G について I(G,H) の性質を研究し、応用数学合同研究集会において発表した。
3. 関連研究
離散研究分野の関連研究として、グラフ上の石交換、格子路の数え上げ、および階層型ネットワークの連結性に関して、研究論文計3件が刊行された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

交付申請書では、本研究の研究対象を次のように分類している;①着色点集合、②グラフ、③その他の離散構造、の3つである。平成24年度は②グラフに関する研究を進めたが、①着色点集合と③その他の離散構造については進展がなかった。このため、達成度として「(3)やや遅れている」とした。
②グラフについては、「研究実績の概要」で述べたように対象とするグラフの族を H*={K_k, K_kの補グラフ, H, Hの補グラフ} とした場合に r(n, H*) を漸近的に決定し、論文としてまとめるとともに、国内会議にて発表した。また r(n, G_4) の決定に向けて、r(n, G_4) の下界を探索する計算機実験を行った。6n+O(1)≦r(n, G_4) であることがわかっているが、計算機実験の結果として次のことがわかった。グラフの族 H_4 = { K_4, K_4の補グラフ, K_{1,3}, K_{1,3}の補グラフ, K_4-e, K_4-eの補グラフ } と定義する。H_4⊂G_4 より、r(n, G_4)≦r(n, H_4) が成り立つ。r(n, H_4) についての実験結果は、r(n, H_4)=6n+O(1) を示唆している。これが正しければ、r(n, G_4)= 6n+O(1) が従う。このことから、今後の方針として r(n, H_4) = 6n+O(1)の証明を試みることが有力である。
また、G における H の点素数区間を I(G,H) とするとき I(G,H) の性質を研究した。特に、H が完全グラフおよび完全2部グラフの場合について、I(G,H) の性質を調べて、国内会議において発表した。

今後の研究の推進方策

本研究の今後の推進方策について、研究対象である、①着色点集合、②グラフ、③その他の離散構造、に分けて述べる。
①着色点集合については、その他の離散構造の研究に統合する形で研究を進めていく。
②グラフについては、重複誘導部分グラフラムゼー数について得られた結果を2013年7月にハンガリー、ブダペストで開催される「エルデシュ生誕100年会議(Erdos Centenial Conference)」においてポスター発表することを予定している。また、対象とするグラフの族を拡張して、研究内容を発展させる。当面の未解決課題として、r(n, H_4), r(n, G_4) を漸近的に決定することが挙げられる。さらに、k≧5 に対して r(n, G_k) についての手がかりを得ることが挙げられる。
③その他の離散構造については、平成23年度に開始したハイパーグラフのΔ-システムへの分割についての研究を再度見直す。現在までに得られている結果を整理し、課題を明確にすることが挙げられる。
また、上記の主テーマに加えて関連する離散数学分野の研究として、(a)グラフ上の石移動・石交換に関する研究、(b)階層型ネットワーク上の経路に関する研究、を推進する。

次年度の研究費の使用計画

次年度に使用する予定の研究費が、109,570 円存在する。当該研究費が生じた状況は、平成24年度において、当初予定していた国際会議への参加を見送ったためである。その理由としては、第1に平成24年度は国内会議における発表および情報収集に集中したためである。第2に、次年度に重要な国際会議(「エルデシュ生誕100年会議(Erdos Centenial Conference)」)が開催されることが判明したので、研究費をその参加費・旅費に充てることとしたためである。当会議は、ラムゼー理論を始めとする組合せ論の発展に大きく貢献したポール・エルデシュを記念する会議であるため、関連分野の一流研究者の参加が予定されている。当該分野の現状と今後の方向性が示されるものと期待される。
また、現時点で参加を予定している他の研究集会は次の通りである。江川嘉美先生還暦記念研究集会(2013年9月:於東京理科大学)、応用数学合同研究集会(2013年12月:於龍谷大学)。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Colored Pebble Motion on Graphs2012

    • 著者名/発表者名
      S. Fujita, T. Nakamigawa and T. Sakuma
    • 雑誌名

      European J. Combinatorics

      巻: 33 ページ: 884-892

    • DOI

      10.1016/j.ejc.2011.09.019

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Counting lattice paths via a new cycle lemma2012

    • 著者名/発表者名
      T. Nakamigawa and N. Tokushige
    • 雑誌名

      SIAM J. Discrete Math.

      巻: 26 ページ: 745-754

    • DOI

      10.1137/100796431

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Nodedisjoint paths in a level block of generalized hierarchical completely-connected networks2012

    • 著者名/発表者名
      T. Takabatake and T. Nakamigawa
    • 雑誌名

      Theoretical Computer Science

      巻: 465 ページ: 28-34

    • DOI

      10.1016/j.tcs.2012.09.016

    • 査読あり
  • [学会発表] グラフの頂点集合の分割に関する問題2012

    • 著者名/発表者名
      中上川 友樹
    • 学会等名
      応用数学合同研究集会
    • 発表場所
      龍谷大学
    • 年月日
      20121220-20121222
  • [学会発表] Hamiltonian path in generalized hierarchical completely-connected networks2012

    • 著者名/発表者名
      T. Takabatake, T. Nakamigawa
    • 学会等名
      Proceedings of the 3rd International Conference on Mathematical Models for Engineering Science
    • 発表場所
      Paris, France
    • 年月日
      20121202-20121204
  • [学会発表] Evaluation of the node-disjoint paths in a level block of generalized hierarchical completely-connected networks2012

    • 著者名/発表者名
      T. Takabatake, T. Nakamigawa
    • 学会等名
      Proceedings of the 13th Symposium of Mathematics and its Applications, Politehnica University of Timisoara
    • 発表場所
      Politehnica University of Timisoara, Romania
    • 年月日
      20121101-20121103
  • [学会発表] 誘導部分グラフの点素なコピーに関するラムゼー型問題2012

    • 著者名/発表者名
      中上川 友樹
    • 学会等名
      日本数学会2012年度秋季総合分科会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      20120900
  • [学会発表] グラフ上の石移動と石交換2012

    • 著者名/発表者名
      中上川 友樹
    • 学会等名
      RIMS共同研究『デザイン、符号、グラフおよびその周辺』
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所
    • 年月日
      20120717-20120719
    • 招待講演
  • [備考] 湘南工科大学ホームページの教員情報

    • URL

      http://www.shonan-it.ac.jp/contents/teachers/information/t-nakamigawa/index.html

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公開日: 2014-07-24  

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