『大成算経』(1711)は、関孝和、建部賢弘、建部賢明の著書で、当時の最新の数学を網羅している。本研究の目的は、『大成算経』の数学を歴史的かつ数学的に理解し、江戸時代中期の数学や数学観を知ることにある。その一助として、『大成算経』の現代日本語訳、英訳を計画した。訳業は実質的に成果を得たが、研究終了時にはまだ全巻の訳業は完成しなかった。 また、江戸時代の日本数学(和算という)は東アジアの数学の一環であり、この見地からの国際的研究ネットワークの構築も目論み、一定の成果を得た。2014年8月に開催した建部賢弘生誕350年記念国際会議は成功し、英文報告書(約600頁)は日本数学会から出版の予定である。
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