申請者らの提案したフェースフィールドモデルを用いた3次元亀裂進展数値シミュレーションを行い,モデルの適応性を検討した.また,3次元数値シミュレーション結果を立体的に可視化するための簡易ビューアソフトを開発した. 3次元の亀裂進展数値シミュレーションについては,早稲田大学野津氏の開発した有限要素コードの改良(野津版)を進めながら,同時に,FreeFem++を用いた数値計算コードを作成し,後者での数値シミュレーションを行った.モデルが実際の問題に適用できるか検討するために,厚みを持つ板状物質に深さ方向に傾斜を持つ初期亀裂からのモードI+III亀裂進展の再現を目指した.実験においては亀裂面の旋回と分断が観測されているが,今回,申請者のモデルを用いて亀裂面の進展過程での旋回について検証することができた.この結果はCzech-Japanese Seminar 2013等で発表された. データの可視化については,3次元亀裂進展数値シミュレーションにおける亀裂面の変形・発展を調べるために,FreeFem++による出力データから可視化するソフトを作成し,市販の3次元表示モニタと併用することで立体視が可能なシステムを構築した.このシステムを利用することで,数値シミュレーション結果における亀裂面の形状を様々な角度から立体的に把握することができるようになった.また,野津版のシミュレーションコードからの出力ファイルをFreeFem++の形式に変換するソフトも作成し,この可視化システムが活用できるようにした.この可視化ソフトのソースコードはインターネットで公開している. また,3次元亀裂進展数値シミュレーションを進めていくためには大規模数値計算の高速化が必須となるため,「き裂進展数値シミュレーションに関する WORKSHOP」を開催し,行列計算手法やそのインプリメンテーションについて検討した.
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