グラフやdigraphのゼータ関数の拡張として、digraphのBartholdiゼータ関数の新しい行列式表示、グラフの行列重みのL関数の行列式表示を与えた。また、グラフのedge L関数を導入し、その行列式表示を導いた。さらには、2部グラフの3変数の一般Bartholdiゼータを定義し、その行列式表示を得た。応用として、hypergraphの3変数の一般Bartholdiゼータ関数を導入し、その行列式表示を与えた。無限グラフについては、periodic simple graph GのBartholdiゼータ関数が、Gへ収束する正則被覆グラフの無限列のBartholdiゼータ関数の極限であることを示した。 量子グラフ関連では、Smilanskyの定理をdigraphに拡張し、それを下に、グラフやdigraphの新たな重み付きゼータ関数を定義し、その行列式表示を得た。量子ウォークについては、グラフ上の離散時間量子ウォークの一つであるGroverウォークのGrover遷移行列、その正台、2乗の正台の特性多項式を、グラフゼータの行列式表示を用いて導出し、直接的に、それらのスペクトルを決定した。また、一般Szegedy遷移行列を導入して、その特性多項式を与え、Grover遷移行列とその正台、Szegedy遷移行列の特性多項式を導き、それらのスペクトルを決定した。量子グラフの4つの散乱行列から、4つの量子ウォークを考え、それらの関係を論じ、特性多項式を導いた。さらに、crystal latticeのquotient graph上のtwisted Szegedy遷移行列の固有値を調べ、crystal lattice上のGroverウォークの局在性、線形的広がりを考察した。Grover遷移行列とIharaゼータ関数の関連性をもとに、Grover遷移行列の2乗の正台を”edge matrix”とする、グラフのmodifiedゼータ関数を定義し、オイラー積、母関数表示、行列式表示、極、収束半径を与え、complexityとの関連を論じた。
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