研究課題/領域番号 |
23540179
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
和地 輝仁 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30337018)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | Capelli恒等式 / 概均質ベクトル空間 / b-関数 |
研究実績の概要 |
1. b-関数、Capelli恒等式に関する研究成果: 平成23年度から25 年度までに引き続き、平成26年度も概均質ベクトル空間のb-関数に関係するCapelli恒等式(奇数型Capelli恒等式) の研究を中心に行った。平成25年度までに、普通の(成分に関係式のない) 行列や、対称行列の現れる奇数型Capelli恒等式を得ていたが、平成26年度には、交代行列の現れる奇数型Capelli恒等式を得た。平成26年度に、この結果を含む論文を投稿し受理・出版された。 2. 対称対の冪零軌道に関する研究成果: b-関数との関連が期待される対称対の冪零軌道について、西山享氏と研究打合せを実施した。平成25年度までは、A型のリー代数で得られている結果を他の型に拡張することは困難だろうと認識していたが、打合せの結果、specialな冪零軌道を考えれば他の型にも拡張可能かも知れないという結論に至り、今後その研究を行うこととした。 3. 一般線型リー代数の表現に関する研究成果: 対称群と一般線型リー代数の表現の対応を与えるSchur-Weyl双対性が知られている。平成26年度には、これを複素鏡映群に一般化し、さらに表現空間に次数を入れたSchur-Weyl双対性を得た。この結果は、ドイツのゲッチンゲン大学で開催された集会で発表した。 4. 平成26年度の研究費の使用: 旅費については、表現論シンポジウム、日本数学会年会、ゲッチンゲン大学の集会への参加や、関連研究者との研究打合せのために使用した。また、リー代数の表現論に関する図書1冊の購入にも使用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概均質ベクトル空間に付随するCapelli恒等式に関する研究については、着実に成果が得られた。奇数型Capelli恒等式については、平成26年度の研究成果とその論文の出版により、ひと区切りが付いたと言える。 また、対称対の冪零軌道に関しては、平成25年度までの結果をまとめた論文を投稿し、受理された (出版時期未定のため、本報告書の研究発表[雑誌論文]には未記載)。さらに、「研究実績の概要」の欄にあるように、special軌道に関する研究が待たれる。 双方の研究について、成果が得られ、論文が出版・受理されているため、研究は概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、国内外の研究集会やセミナーなどを含めた研究打合せを通して、新しい知見を得ながら研究を進める予定である。参加を予定している研究集会等としては、数理解析研究所研究集会「表現論および関連する調和解析と微分方程式」、日本数学会秋季総合分科会・年会、表現論シンポジウムなどがある。主な研究打合せとしては、まず、対称対の冪零軌道に関する研究については、西山享氏をはじめとする関連研究者と研究打合せを実施する。次に、概均質ベクトル空間に付随するCapelli恒等式に関する研究については、ワイル群や複素鏡映群の余不変式環についての知見を得るために、カナダで開催される集会に参加する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の3月にあった2件の出張旅費が、推定よりも少なく済んだため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、そのまま旅費に充てることで使用する。
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