研究課題/領域番号 |
23540183
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
松本 裕行 青山学院大学, 理工学部, 教授 (00190538)
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研究分担者 |
谷口 説男 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (70155208)
神保 雅一 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (50103049)
脇 克志 山形大学, 理学部, 教授 (30250591)
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キーワード | 国際研究者交流(フランス) / 国際情報交換(フランス) |
研究概要 |
ベッセル過程の最小到達時刻の確率分布,確率密度の具体形を求め,尾確率の漸近挙動と合わせて,時間パラメータを無限にしたときの漸近展開まで与えた.さらに,この確率分布が無限分解可能分布であることから,レヴィ測度の具体形も与えた.また,ベッセル過程の次元は整数でなくても定義されるが,次元が整数の場合はブラウン運動の動径成分を与え,ベッセル過程の到達時刻の分布から球に基づくウィナーソーセージの体積の期待値が計算できる.上述の結果を用いて,体積の期待値の漸近挙動を与えた.これらは既知の結果を大幅に改良する結果である. 到達時刻の確率分布は,そのラプラス変換が変形ベッセル関数のある商で与えられることから,逆変換を計算して求められ,変形ベッセル関数の零点を用いて与えた.特に,第2種ベッセル関数が現れる場合が新しい結果である.レヴィ測度の計算は違う形の比較的容易な形の商を考えることになるので,逆に,本結果から第2種変形ベッセル関数の零点を調べることができることを示した.そして,零点が係数がベッセル関数を用いた積分で与えられる代数方程式の根で与えられることを示した.これは,次元が整数の場合にのみ知られていた結果からの大幅な進歩である.また,計算機による数値計算により零点の値を正確に与えることに成功した. 正定置行列の空間のラプラシアン,ベッセル関数に関しては,研究の準備を進めているが,特筆すべき結果は得られていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ベッセル過程の到達時刻の確率分布の具体形についての研究は,当初の予定通りである.ただ,時間パラメータを無限大にするなどしたときの漸近挙動を調べるなど幾つかの漸近展開を行ったが,その結果には時間パラメータのべきだけではなく対数が出現するなど予想外の結果も得られた. 結果を変形ベッセル関数の零点を用いて表現することは当初から予想していたが,申請時には,逆に変形ベッセル過程の零点の研究に応用できるとは想像すらできなかった.ベッセル関数は,古典的な特殊関数であり,その基本的な量である零点に関してこれまでに知られていなかった新しい結果が得られ,数値計算まで行うことができたのは望外の喜びであった.
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今後の研究の推進方策 |
ベッセル過程の到達時刻の確率分布に関しては,論文2報が国際的な学術紙に受理され一方はすでに出版され,レヴィ測度などに関する論文は投稿中である.まずはこの発表に全力を挙げ,第2種ベッセル関数の零点に関する結果を発表したい.数値計算に関しては,これまでとは別の数式処理ソフトによる結果の検証を行いたい.2013年度は,幾つかの研究集会において,結果を発表する予定である. 目的の1つである正定置行列の空間上のラプラシアンに関して,低次元の場合から研究を行う.ベッセル関数に関する結果が,この空間の上の,やはりベッセル関数とよばれる関数の研究に役立たせたい.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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