研究課題/領域番号 |
23540186
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石村 隆一 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10127970)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 畳込み方程式 / 非局所微分方程式 / 代数解析学 / 包合系 / 演算子法 / 微分・差分方程式 |
研究概要 |
申請書に書いた研究目的[1]「空間 A-∞ における解析的汎函数を核とする畳込み方程式に関する一般理論構築のための研究」[2]「非局所擬微分方程式の演算子法と可解性」[3]「 局所および非局所線型微分方程式系の研究」のうち[1]についてロシア・ロストフの南方数学研究所A.V.Abanin 教授・シンガポール Nanyang 工科大学の Le Hai Khoi 教授との共同研究により以下の進展があった(研究発表の[雑誌論文]): (1) 可解性のための必要十分条件について。これについては昨年度までの研究で既にほぼ完全な条件として得られていたが、これらに関し完全な証明をつけた結果を出版した。 (2) 斉次方程式の解の空間におけるShauder基底の存在、またある自然な条件の下でこの基底として指数多項式解よりなる空間が取れることが証明できた。この証明法は過去の正則関数の場合にしばしば用いられる方法、すなわち(FS)空間における議論ではなく、(DFS)空間での議論を行い、可算個の空間においてディーバーNeumann問題を解くことによって得られたものであることが重要である。 またその他の研究目的でも、[2]については解の存在と延長性について一定の結果が得られているが引き続き次年度の研究により完全なものとなるものと期待される。 これらの研究成果には、科学研究費により導入した機器類・ソフトウェアによる例計算の実験を通し、そしてさまざまな複素解析の書籍・微分方程式の形式理論や微分Galois理論などの関連する図書の充実が重要であった。当該年度の3名の共同研究は、相互訪問の実現ができなかったためおもにメール等の手段によって行われたものではあるが緊密な連携を行うことにより得られたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記3名による共同研究は、相互訪問が実現できなかったためおもにメール等の手段によって行われたものではあるが、様々な問題提起、議論・討論を行い予期した以上の成果を得ることができ、また現在も研究を継続中である。申請書提出時に想定した以上の内容と速度で研究が行えていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は今年度に得られた数学上の結果・知見をさらに発展させることを目指す。今年度に引き続き、ロストフとシンガポールとの連携をおこない研究の進捗状況に応じ可能な場合に相互訪問も行うことで、研究目的[1]のさらなる進展をさせたい。また研究目的[2]についてはその概要が概ね明確になったため、次年度にはその完成を目指して研究を継続する。また[3]についての準備状況は科学研究費による書籍等の資料が比較的充実してきたので次年度以降にその方向性を定める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は様々な理由により特に共同研究者相互の訪問が行えなかったため、次年度は可能な限りこれらを実現し、また引き続きその他の研究者とも数学的手法と情報・知識の交換、研究討論を行い、また関連する図書や機器・ソフトウェアの充実を図りたい。
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