研究実績の概要 |
1. 一瀬は斉藤義実(Alabama大,米)との共同研究による,スカラー値関数の場合の所謂「改良ソボレフ不等式」をベクトル値関数の場合に拡張した論文を,Funkcialaj Ekvacioj誌(2014)に出版。不等式の右辺のスカラー値関数のgradientノルムをベクトル値関数のDirac作用素から発するノルムに置き換えた。 2. 昨年初め,一瀬・村山太郎共著の論文[Proc. Japan Acad.誌(2014)]において,磁場付き古典的相対論的ハミルトニアン表象に対応する3つの量子化相対論的シュレーディンガー作用素半群の内のひとつであるワイル量子化の場合に,粒子質量が零に近づくときの極限問題をレヴィ過程の極限定理として確率論的に証明した。より一般の条件のもとに,他の2つの相対論的シュレーディンガー作用素半群の場合についても,最近,村山太郎によって解決された。 3. 一瀬は,作用素ノルム Trotter-Kato積公式に関して,2014年7月14日から8月2日まで,Mittag-Leffler研究所(スウェーデン,Stockholm) V. Zagrebnov (仏, Marseille), H.Neidhart (独, Berlin)との共同研究を行った。 4. 研究分担者 田村英男(岡山大)は,ソレノイド磁場(デルタ型磁場)による散乱において,捕捉現象から実軸近傍に生成されるレゾナンスにAB効果(アハラノフ・ボーム効果)がいかに関与するかについて解明を進め,2つのソレノイド磁場の場合[Adv.Math.誌(2014)]から,更に3つのソレノイド磁場の場合に深化させた成果速報をProc. Japan Acad.誌(2014)等に出版。
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