研究課題
1.関数空間上で定義された共単調加法的汎関数のショケ積分表示: 局所コンパクト空間上のコンパクトな台をもつ連続関数空間や,無限遠点で消滅する連続関数空間など,必ずしも正錐でない関数空間上で定義された汎関数のショケ積分表示可能性問題は,これら関数空間が定数関数を含まない場合は,ショケ積分の非対称性に起因した困難さのため,未解決であった.そこで,まず,汎関数に単調性と共単調加法性を仮定しただけでは,ショケ積分表示できない例を構成した.さらに,漸近平行移動可能性の概念を新たに導入し,単調かつ共単調加法的汎関数のショケ積分表示可能性と,漸近平行移動可能性が同値であることを示した.2.非加法的測度の弱収束を定める距離の構成:距離空間上の非加法的測度に対してLevy-Prokhorov型の距離とFortet-Mourier型の距離を導入し,その基本的性質を調べた.特に,これらの距離は,自己連続なRadon非加法的測度の作る空間上では,実際に距離となることを示した.また,同程度一様自己連続性の概念を導入し,非加法的測度の弱収束は,この集合上では,一様的性質をもつことを示した.これらの結果から,非加法的測度の弱収束は,同程度一様自己連続な集合上でLevy-Prokhorov型距離とFortet-Mourier型距離により距離付け可能であることがわかった.また,測度の弱収束列の一様緊密性に関するLeCamの定理を非加法的測度の場合へ拡張することに成功した.3.ショケ積分/菅野積分/シルクレット積分に対する有界収束定理:非加法的測度の積算概念として広く利用される非線形積分であるショケ積分/菅野積分/シルクレット積分に対して,測度収束する可測関数列に関する有界収束定理が成り立つための必要十分条件は,非加法的測度が自己連続であることを示した.
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10.1016/j.ijar.2012.11.008