研究課題/領域番号 |
23540203
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
橋本 隆司 鳥取大学, 大学教育支援機構, 教授 (90263491)
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キーワード | 運動量写像 / 捩れ余接束 / 余随伴軌道 / シンプレクティックベクトル空間 / 振動子表現 |
研究概要 |
複素簡約線形Lie群GとそのLie環gに対し,Gは余随伴作用によりgの双対空間に作用し,その半単純元lambdaに対し,その固定部分群LをLevi partとするGの放物型部分群をQとすれば,一般Grassmann多様体 G/Q の正則余接束の各局所自明な積束上で,捩れ運動量写像mu_lambda は局所自明な積束から複素余随伴軌道Omega_lambdaの中への正則なシンプレクティック同型写像を与え,これら局所自明束を写像mu_lambdaのG同変性を利用してゲージ変換=アフィン変換で貼り合わせて構成される捩れ余接束を考えれば,mu_lambdaはこの捩れ余接束から複素余随伴軌道Omega_lambdaの上への正則なシンプレクティック同型を与え,さらにこの写像mu_lambdaは捩れ余接束上の運動量写像に他ならないこと,およびGの非コンパクト実型G_Rによるlambdaの実余随伴軌道Omega_{lambda,R}は,写像mu_lambda,および,lambdaから構成されるユニタリ表現(最高ウェイト表現になる)の最高ウェイトべクトルとを用いて自然に(捩れ)余接束の中に埋込めることがが前年度までの研究で明らかになった.これは非可換な世界から可換な世界へと向かう研究であるが,シンプレクティックべクトル空間上の運動量写像を量子化すればoscillator表現が得られ,そのコピーを考えればHowe双対性が得られることが本年度の研究により明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シンプレクティックべクトル空間上の運動量写像の量子化により,一方がコンパクトなHowe's reductive pairのoscillator表現が得られることかが明らかになったが,これは不変式論における運動量写像の占める位置に新たな視点をもたらし,可換な世界と非可換な世界を結びつける.運動量写像を通したCapelli元の理解という本研究の最終的な目標にむけた大きな一歩である.
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今後の研究の推進方策 |
シンプレクティックべクトル空間上の運動量写像の量子化に関する研究を推進することにより,不変式論と表現論的不変量の関係を明らかにする.そのために,研究集会へ積極的に参加し意見の交流を図ると同時に文献を収集し知識の拡充に努める.
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次年度の研究費の使用計画 |
捩れ運動量写像が複素旗多様体の正則余接束と複素半単純軌道との間のグローバルな正則同型を与えるという主張に誤りがあることが2012年度に判明した.この主張は局所的には正しいが,大域的な同型を得るには捩れ余接束を考える必要があるという修正を得るのに想定以上に時間がかかってしまった結果,計画調書に記述した通りに国内及び国外出張をすることができなかった. 2014年8月に国際数学者会議が国外で開催されるので,これに参加登録を行った.また国内出張についても,6月に京都大学数理解析研究所で開かれる研究集会で講演する予定である.さらに11月に開かれる表現論シンポジウム,12月の表現論ワークショップにも参加する他,9月および2015年3月に開催される日本数学会に参加する予定である.
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