研究実績の概要 |
捩れ運動量写像を用いて表現論的不変量を記述することを本プロジェクトの最終目標として,本研究の研究目的として以下の3点を挙げた.(i) 捩れ運動量写像および余随伴軌道の境界∂Sの定義函数を用いて特性サイクルを記述し,これにより余随伴軌道Sのフーリエ変換の計算; (ii) 随伴多様体,随伴サイクル,Gelfand-Kirillov次元やBernstein次数等の表現論的不変量を捩れ運動量写像を用いた記述; (iii) (ii) で得られた結果を基に,随伴サイクルがwave front cycleに一致するというBarbasch-Vogan-Schmid-Vilonen定理への捩れ運動量写像を使ったアプローチを試みる.さらに,det(σ_λ(X)) または Pf (σ _λ(X)) と Chern 類や Euler 類など;特性類との関係を明らかにする(ただしσ_λ(X)は捩れ運動量写像のパラメータを適当に変形したもの). まず(i)に関しては最も基本的な例の余随伴軌道のフーリエ変換に関する計算結果が得られたので,それを2012年度表現論ワークショップにて発表した.(ii)に関してはシンプレクティック・ベクトル空間上の(捩れのない)運動量写像の正準量子化で得られるユニタリ最高ウェイト表現の随伴多様体が,この量子化に際して選ばれたラグランジュ部分空間の運動量写像による像として記述されることを明らかにし,プレプリントとしてarXivにアップロードした(arXiv:1408.6597).また(iii)に関しては,松木対応と関口対応との関係をうまく構成することを鍵としてBarbasch-Vogan-Schmid-Vilonen定理が証明されるのであるが,そこに捩れ運動量写像とシンプレクティック・ベクトル空間上の運動量写像を使うという着想を得た.
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