研究課題/領域番号 |
23540208
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
柳 研二郎 山口大学, 理工学研究科, 教授 (90108267)
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研究分担者 |
柳原 宏 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (30200538)
岡田 真理 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (40201389)
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キーワード | 国際情報交流・中国 / 不確定性関係 / Wigner-Yanase 歪情報量 / トレース不等式 / 量子情報理論 |
研究概要 |
Wigner-Yanase skew information は 1963 年に密度作用素と物理量の非可換性の度合いを測る量として提起されて以降、その性質が調べられてきた。近年 Wigner-Yanase skew information やその1パラメータ拡張の Wigner-Yanase-Dyson skew information が quantum Fisher information の特別な場合に関連していることが知られてきた。またすべての quantum Fisher information の族は作用素単調関数のある族によって特徴化されることも分かってきた。この研究では Wigner-Yanase skew information に関する不確定性関係の様々な拡張や一般化を与えた。特に作用素単調関数を用いた metric adjusted skew information や metric adjusted correlation measure などの不確定性関係を統一的にまとめた。metric adjusted skew information に関しては Heisenberg の不確定性関係のさらなる一般化に相当し、metric adjusted correlation measure に関しては Schrodinger の不確定性関係のさらなる一般化に相当している。またこれらの結果を得るための十分条件についての量子力学的な意味付けや最近話題になっている小澤の不等式との関係等が今後の課題として残されている。また monotone pair 又は anti-monotone pair をなす関数を用いて一般化された skew information についての trace 不等式も関連して得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた Wigner-Yanase skew information に関する不確定性関係をより一般化した metric adjusted skew information や metric adjusted crrelation measure の満たす不確定性関係が得られ、さらに monotone pair や anti-monotone pair をなす関数を用いて一般化した skew information についての trace 不等式も得られたから。
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今後の研究の推進方策 |
不確定性関係のさらなる一般化を試みる。また quantum Fisher information に関するトレース不等式を様々な観点から導く。今までのいくつかの未解決問題の解明に向けて様々な試みを行う。例えば一般化された metric adjusted skew information や metric adjusted correlation measure を導入し、それらの満たす不確定性関係式を導く。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度海外での国際シンポジウムで発表することになったため、今年度の12万円を次年度に繰り越して使用することになった。そのため次年度には量子情報理論および函数解析学関連図書に 12 万円、消耗品に 3 万円、旅費に約 92 万円、謝金その他に 15万円の計約 122 万円を使用する計画である。 分担者の柳原宏氏と岡田真理氏にはそれぞれ 11万円ずつを当てている。
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