研究課題/領域番号 |
23540211
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
柳 重則 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (10253296)
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研究分担者 |
中村 徹 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 助教 (90432898)
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キーワード | Navier-Stokes方程式 / 圧縮性流体 / 時間大域的挙動 |
研究概要 |
前年度までの研究に引き続き、燃焼モデル方程式に対する初期-境界値問題を考察し、解の時間大意的挙動について研究を行った。特に、反応次数の総和を表すパラメータに着目し、このパラメータ m が1より大きい場合に、解は定常解へどの程度の速さで漸近していくか解析を行った。前年度までの研究によって、時間のみに依存し、空間に関しては一様な解が唯一つ存在し、定常解へ少なくとも t の -1/(m-1) 乗の速さで漸近するとの結論を得ている。この解と方程式の解との差を評価することによって、残燃料の濃度および絶対温度を表す関数は、t の -1/(m-1) 乗の速さで減衰すると予想しているが、初期値の摂動が十分小さい場合には、この予想が正しいことが示された。しかしながら、初期値に制限が無く、大きなデータに対しては結果が成り立つか不明であり、今後の研究課題として残されている。 また一般の連立系を1次元半空間上で考えた問題について考察した。問題設定としては、まず最初に全ての特性速度が負となる場合、すなわち非縮退のケースを考察した。この設定は、圧縮性流体のモデル方程式に流出境界条件を設定した場合に対応する。本問題に対してはこれまでの研究により非縮退な定常解の存在性が示されていた。そこで本年の研究では、定常解からの摂動が十分小さい仮定のもとで、その漸近安定性を証明した。安定性を示す上で鍵となるのは、解の空間微分の評価をどのような順で導出していくか、という所にあるが、1983年に松村・西田によって開発された圧縮性粘性流体に対する半空間エネルギー法を一般化し応用することにより放物型に対応する解の消散的評価を導出することに成功し、さらに安定性条件から従う双曲型に対応する解の消散的評価を組み合わせることにより、一様なエネルギー評価を求めることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的は、圧縮性 Navier-Stokes 方程式の時間大意解を考察し、特に大きなデータに対して、時間大域的挙動を明らかにすることである。今年度は燃焼モデル方程式や Out-Flow 問題を中心に研究を行ったが、解の定常解への漸近レートについては、従来の結果と比較して改善が見られた。得られた結果は、いずれも定常解からの摂動が十分小さいという仮定のもとであり、大きなデータを扱うことは出来ていないが、燃焼モデル方程式に対する漸近レートは最適であり、この点において研究の目的の達成度は、"概ね順調に進展している" と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度と同様に、文献調査および机上における計算を中心に研究を進める。燃焼モデル方程式については、大きなデータに対して、定常解への漸近レートが改善出来ないか、引き続き解析を行っていく。並行して、Inflow - Outflow 問題や、非有界領域における、圧縮性 Navier-Stokes 方程式について研究を行っていく。Inflow 問題に対するアプローチとしては、1 次元モデルにおいて、無限遠方での状態が亜音速のみならず、超音速になっても、量子効果により定常解が存在して、この定常解は漸近安定であることを示した松村氏らの手法を参考にして研究を進めていきたい。 また、本研究に関連する主要なセミナー・研究集会に参加し、研究報告、情報の収集に努めていくとともに、適宜、談話会を開催する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究費のうち、約5万円が次年度に繰り越しとなっているが、これは発注済みの図書(洋書)の一部が未完・在庫切れのため、年度内に納入されなかったためである。 次年度において、研究分担者と研究打ち合わせや、国内外における各種セミナーや研究集会に参加し、研究成果発表、情報の収集を行うため、旅費として53万円の使用を計画している。その内8万円を、研究分担者に配分する予定である。また、物品費として、主に偏微分方程式関連の図書の購入と、PC関連の消耗品の購入のため25万円を使用する予定である。さらに談話会等の講演者への謝金として9万円の使用を計画している。
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