研究課題/領域番号 |
23540222
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
中澤 秀夫 日本医科大学, 医学部, 教授 (80383371)
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研究分担者 |
門脇 光輝 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (70300548)
渡邊 一雄 学習院大学, 理学部, 助教 (90260851)
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キーワード | 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
研究概要 |
波動方程式やシュレディンガー方程式の定常問題であるヘルムホルツ方程式の解の評価である一様レゾルベント評価式を従来未解決であった2次元外部領域に対して確立した。数学的散乱理論の研究においてヘルムホルツ方程式のリゾルベント評価式は最も基本的なものであるが、これの評価式はポテンシャル項のない場合で全空間の場合には既に多くの結果がある。一方で、ポテンシャル項があったり非対称なエネルギー依存ポテンシャル項がある場合には研究は進んでおらず、特に2次元外部領域での評価式はここ30年にわたって未解決のままであった。本研究では放射条件に関連するハーディー型不等式を証明することにより この未解決問題を解くことに成功した。更にこの応用として非定常シュレディンガー方程式の解の平滑化評価式や摩擦項を伴う波動方程式に対する極限振幅の原理の既存の結果の改良なども系として証明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハーディー型の不等式の証明の簡略化によりこれの一般化が可能となり、放射条件に関連するハーディー型の不等式が空間1次元以上で証明された。これを巧妙に用いることによりヘルムホルツ方程式の2次元外部領域でのリゾルベント評価式で従来は負となり評価できなかった項を補うことが出来て結果が証明された。
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今後の研究の推進方策 |
2次元外部領域におけるリゾルベント評価式は当研究で一応の解決を見たが、その評価式としての最適性(optimality)の観点からはやや不満の残る結果である。これをもう少し精密に研究し、多次元の結果と比べて劣るのが2次元特有の問題なのか、或いは評価に甘いところがあるからなのかを考察する。 また、極限振幅の原理の結果に関し、既存の結果では摩擦項の係数関数の非負性を仮定すればそのマキシマルノルムの制限は不要である点を考慮すれば本研究で得られている結果が最良かどうかはやや問題があろう。これらについても考察をする。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内外の関連研究者とのディスカッションを通じて最新の研究成果に関する情報収集を行い、それを本研究に生かすための旅費、また研究を遂行するために必要な物品費、関連研究者の招聘や出張などに必要な謝金や旅費などに支出する。
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