研究課題/領域番号 |
23540222
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
中澤 秀夫 日本医科大学, 医学部, 教授 (80383371)
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研究分担者 |
門脇 光輝 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (70300548)
渡邊 一雄 学習院大学, 理学部, 助教 (90260851)
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キーワード | 偏微分方程式論 / 数学的散乱理論 / スペクトル解析 / リゾルベント評価 / 平滑化評価式 / 極限吸収原理 / 極限振幅の原理 / 散乱状態の存在 |
研究概要 |
これまでに得られていた私の結果は既に日本数学会にて報告したが、結果をまとめてたものを論文として投稿し発表した。 この結果に関して、2次元外部領域におけるヘルムホルツ方程式の一様リゾルベント評価式を初めて証明することができたものの、既存の研究結果から当然成り立つことが期待される、不等式の左辺と右辺における重み関数の双対性を保持した形での証明は出来なかった。 本年度はこの点の改良に取り組み、望月清氏との共同研究により、この欠点を完全に改良することに成功した。その証明において注意すべきことは、重み関数として、2次元外部領域の場合にその成立が知られているHardy型の不等式に現れる重み関数を採用すればよいということである。私のこれまでの研究ではこの部分に対する注意が払われなかったために、不等式の左辺と右辺で成り立ってしかるべき重み関数の双対性が破れてしまっていた。なおこの結果は外部領域の場合のみに成り立つものであり、2次元全空間の設定では期待できそうもない。なおこの結果は2014年3月に学習院大学で行われた日本数学会にて報告した。 この結果の応用として、2次元外部領域における対応する時間発展方程式(シュレディンガー方程式や相対論的シュレディンガー方程式、クラインゴルドン方程式、波動方程式)の解の評価式として重要な平滑化評価式も同時に確立した。また摩擦項を伴う波動方程式に対する定常問題に対しても、同様の方法でリゾルベント評価式が期待されるが現在計算中である。 また今後の課題として、2次元全空間で磁場を伴うシュレディンガー作用素を考えた場合にある種の対称性やサポートコンパクト性などがあると重み関数として3次元以上のものを選ぶことができるという既存の結果があるので、そういった結果も考慮して我々の結果をさらに進展させていきたい。
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