研究実績の概要 |
Dirac 作用素のスペクトルとレゾナンスの研究を行った.特に,固有値の非存在,リゾルベントの一様評価について研究した. 固有値の非存在については,質量 m が正の場合は閥値 m, -m が,m=0の場合はゼロが,それぞれ固有値でないための十分条件を調べて,ミュンヒェン大学の Hubert Kalf氏,京都大学の大鍛治隆司両氏と論文にまとめた.なお,m=0 の場合は,特殊な状況においてゼロ固有値のある例は,M. Loss - H.T. Yau による論文で知られている. リゾルベントの一様評価については,京都大学の「偏微分方程式セミナー」(代表:大鍛治隆司氏),研究集会「夏の作用素論シンポジウム」(代表:岩塚明氏,滋賀県長浜市),研究集会「超局所解析と古典解析」(代表:大鍛治隆司氏,長崎市)などで講演した.質量 m が m>0 の場合と,m=0 の場合では期待される評価に相違があることが分かった. 2014年9月には,ドイツ・ミュンヒエンに外国出張し,Hubert Kalf 氏と共同研究を行うことが出来た.なお,京都大学にはしばしば出張し,「作用素論セミナー」に出席して研究交流を行い,大鍛治隆司氏の研究室で共同研究を行ったりした. 学術雑誌「数学」から依頼のあった論説について,愛媛大学の伊藤宏氏と共同で「ディラック作用素のスペクトルについてーポテンシャルが遠方で発散する場合を中心にー」と題して作成し,現在投稿中である.
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