研究課題
本年度は、臨界ソボレフ指数をもつ放物型方程式の解の漸近挙動、特異な係数関数をもつ非有界領域上で定義された楕円型方程式の解の多重性、および臨界 Trudinger-Moser 型不等式に付随する変分問題に対する研究を行った。放物型方程式については集大成として、凝集解の漸近挙動を、前方自己相似変換後の方程式に対する大域的コンパクト性を解析することにより、エネルギー量子化を示した。これは指数関数を重みとするソボレフ空間上で定義された、同重み関数と臨界ソボレフ指数をもつ汎関数の Palais-Smale 条件の破れを詳細に解析することによって達成された。汎関数及びソボレフ空間のノルムが、重み関数のために平行移動不変でないため、既存の解析手法はそのままでは使えない。Palais-Smale 列の空間無限遠における挙動を解析することにより、必ずしも平行移動不変性を持たない場合にも質量の凝集現象を示すことができた。楕円型方程式については、外部領域上の方程式の場合、十分弱い特異性をもつ係数関数をもつならば、解の個数が外部領域の位相、すなわち球面のカテゴリーで下から評価できることを示した。係数関数が存在しない場合の汎関数の等位集合は、領域が外部領域であることを反映し、球面程度の位相の豊富さを持つが、係数関数を導入すると、特異性が十分小さい場合にはこの豊富さが遺伝し、解の多重性が生じるという結果である。Trudinger-Moser 型不等式については、制約条件を与えるノルムが同値であったとしても、付随する最大化問題に対する最大化元の存在・非存在の様相が大きく異なることを示した。一般に同値なノルム下での位相構造は変わらないと思われているが、本研究は位相的性質の一つであるコンパクト性については、具体的な変分問題の様相に応じて異なった事態が生じえることを示唆している。
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