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2011 年度 実施状況報告書

反応拡散方程式における回転非対称な3次元進行波解

研究課題

研究課題/領域番号 23540235
研究機関東京工業大学

研究代表者

谷口 雅治  東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (30260623)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード進行波 / Allen-Cahn方程式
研究概要

Allen-Cahn方程式など双安定な反応項をもつ拡散方程式において,多次元進行波の研究を行った.2005年に2次元V字型進行波解の存在がNinomiya-Taniguchi (JDE, 2005)により証明され,軸対称な進行波が Hamel-Monneau-Roquejoffre (DCDS, 2006)により証明された.この時点で軸非対称な進行波が存在するのか否かは未知であったが,2007年に私は3次元角錐型進行波の存在(SIAM Math.Anal.,2007)を証明した.一般のN次元空間でも角錐型進行波を構成できるか,またそれ以外に新しい多次元進行波を構成できるかという問題意識から本研究はスタートしている.得られた成果は以下の2点である.(1) N次元角錐型進行波解の存在を証明した.この成果は,Kurokawa-Taniguchi (Proc. Edinburgh, 2011) として公表した.角錐型進行波解は3次元の場合は2007年にその存在を証明したが,一般のN次元では未解決であった.本研究ではこの問題を解決した.(2) 軸非対称な3次元進行波解の存在を証明した.この成果は国際学術雑誌DCDS-A に2012年に公表した.3次元角錐型進行波の側面の数を無限大にする極限をとることにより,軸非対称な3次元進行波解を構成することができた.困難な点は,3次元角錐型進行波の遷移層の幅の一様評価を与える必要が生じることである.本研究ではこの困難を克服して上記の結果を得た.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

角錐型進行波をN次元空間で構成し,その極限として一般の進行方向に軸非対称な3次元進行波を構成することに成功したため,研究はおおむね順調に進展している.現在,この研究において学術論文3本が国際学術雑誌に掲載された.日本数学会および米国数学会において口頭発表を行った.

今後の研究の推進方策

Lotka-Volterraモデルなど競争系の反応拡散方程式系にたいして,角錐型進行波を構成することを計画中である.すなわち,比較定理が成立する反応拡散系にたいして,Allen-Cahn方程式に適用した手法が適用可能であるか否かを研究中である.次年度に当初計画以上に旅費が必要となる見込みとなったため,旅費を次年度に回した.

次年度の研究費の使用計画

引き続き,反応拡散方程式における回転非対称な3次元進行波解について,国内外の研究者の方々とのディスカッションを行い,研究を進める.2012年9月3日より9月6日まで, 京都大学数理解析研究所の共同利用の一環として,RIMS研究集会が開催され,私はその代表者となっている.この研究集会は,反応拡散方程式の定性的理論を展開するため,国内外から20名を超える第一線の研究者を招聘する.この招聘のために旅費を使用する計画である.また7月に米国オーランドにおいて行われる国際研究集会ICDSDEA2012 において,スペシャルセッションを主催する計画である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Multi-dimensional traveling fronts in bistable reaction-diffusion equations2012

    • 著者名/発表者名
      Masaharu Taniguchi
    • 雑誌名

      Discrete and Continuous Dynamical Systems

      巻: Vol. 32, No. 3 ページ: 1011-1046

    • DOI

      10.3934/dcds.2012.32.1011

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Multi-dimensional pyramidal travelling fronts in the Allen-Cahn equations2011

    • 著者名/発表者名
      Yu Kurokawa and Masaharu Taniguchi
    • 雑誌名

      Proceedings of the Royal Society of Edinburgh: Section A Mathematics

      巻: Volume 141 ページ: 1031--1054

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Traveling fronts in perturbed multistable reaction-diffusion equations2011

    • 著者名/発表者名
      Masaharu Taniguchi
    • 雑誌名

      Discrete and Continuous Dynamical Systems -- Supplement 2011

      巻: Volume II ページ: 1368--1377

    • 査読あり
  • [学会発表] Traveling fronts of pyramidal shapes in competition-diffusion equations2012

    • 著者名/発表者名
      Masaharu Taniguchi
    • 学会等名
      AMS 2012 Spring Eastern Sectional Meeting(招待講演)
    • 発表場所
      George Washington University, USA
    • 年月日
      2012年3月17日
  • [学会発表] 単独の反応拡散方程式における局在進行波解の非存在2011

    • 著者名/発表者名
      谷口雅治
    • 学会等名
      日本数学会 秋季総合分科会
    • 発表場所
      信州大学松本キャンパス
    • 年月日
      2011年9月30日

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公開日: 2013-07-10  

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