研究課題/領域番号 |
23540244
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
内藤 雄基 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (10231458)
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研究分担者 |
梶木屋 龍治 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10183261)
石井 克幸 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 教授 (40232227)
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キーワード | 非線形解析 / 解の挙動 / 振動解 / 国際研究者交流:クロアチア |
研究概要 |
非線形放物型偏微分方程式に対して、解の挙動と定常問題の解構造との関連性について考察を行った。とくに今年度は放物型ー楕円型方程式系の解の挙動、および定常問題の解の特異性の特徴付けについて重点的に研究を行った。 走化性を記述する数理モデルの単純化モデルである放物型ー楕円型方程式系の Cauchy 問題について考察を行った。この系の解の挙動は、初期値の体積により決定されることが知られており、ある臨界値より小さいと解は時間大域的に存在すること、その値より大きいと有限時刻において爆発することが知られている。本研究では、その臨界値における解の挙動について考察を行った。臨界値において、無限時間をかけて爆発する解の存在は既に得られているが、ここでは球対称解に限定し解の時間挙動が、初期値の空間遠方における挙動により決定されることを用いることにより、有界で振動する解および非有界かつ振動する解を構成することができた。 また定常問題における解の特異性について考察を行った。多次元の球内部においてp-Laplace 作用素をもつ方程式を考え、その境界における解の特異性について考察を行った。多次元領域における球対称解のグラフのフラクタル次元についての研究と、対応する常微分方程式の解に対する結果とを活用することにより球対称振動解が境界において与えられた値の box dimension をもつための方程式の係数に対する十分条件を求めることができた。また原点に特異性を持つ2次元線形常微分方程式系に対して、原点近傍における解軌道の求長可能性について考察を行った。係数行列の固有値の原点における挙動により、解軌道の求長可能性を特徴付けられることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
放物型ー楕円型方程式系の Cauchy 問題に対して特異な挙動をする解の構成ができたこと、および定常問題の振動解に対して、そのフラクタル次元および求長可能性という観点から、特異性の特徴付けができたことにより、難解と思われる問題をいくつか解決することができた。
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今後の研究の推進方策 |
臨界指数を含む非線形方程式に対して、その解の挙動・構造を明らかにしたい。とくに、その定常問題の解の性質を考察するとともに、Cauchy 問題において初期関数を連続的に変化させた場合に、どのような解が現れるか、定常問題の性質がどのように反映されるかという問題に取り組んでいきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
半線形放物型偏微分方程式の特異定常解の構成の研究において、研究協力者が転任したことにより、研究打ち合わせを遅らせたことにより未使用額が生じた。 そのため、研究打ち合わせ、およびその成果の研究集会での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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