研究課題/領域番号 |
23540246
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
増田 俊彦 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (60314978)
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キーワード | von Neumann環 / 一径数自己同型群 / ロホリン性 |
研究概要 |
本年度は北海道大学の戸松怜治氏と共同で、von Neumann環への実数群の作用の分類について研究した。 特に作用がロホリンの性質を持っている場合の分類を研究し、このような二つの作用が与えられた時に、漸近内部的な分だけの違いであれば、強コサイクル共役であることを示した。我々の分類定理では元のフォンノイマン環に単射性やマクダフ性の仮定は特に必要ない。特に単射的因子環のロホリン的な実数群の作用は、Connes-Takesakiモジュールで分類されることが分かる。この分類定理の応用として、単射的III型因子環の分類の別証明が得られる。特に単射的III_1型因子環の一意性が構造定理から導かれる。ただしこれは一部Connes-Haagerupの理論とモジュラー自己同型の特殊事情を用いているので、ロホリンの性質の特徴づけが得られることが望ましい。 また我々の分類は単射的II_1型因子環の実数群の作用の分類にも応用できる。この方面では 河東によってカルタン部分環を固定する作用の一意性や、無理数回転C*環からくる作用の分類が先駆的な結果として得られていたが、これらの作用がロホリン性を持つことが比較的簡単にわかるので、我々の分類結果から一挙に従う。また河東の結果をIII型に一般化した青井-山ノ内の分類結果も我々の分類から従う。ロホリン性の特徴付けはまた得られていないが、 具体的な例ではたいていロホリン性を持つことがチェックできるので、我々の分類で知られている実数群の作用はほとんど分類できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロホリン的な一径数自己同型群の分類が得られ、それまで知られていた結果が統一的に 説明できるようになったため。
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今後の研究の推進方策 |
離散従順Kac環の単射的因子環への作用の分類を行う。作用に扱いやすい性質があるときは コホモロジー的不変量によって分類できるが、一般の作用についてはまだ適切な不変量が定式化されていないので、その研究を行う。また不変量の性質の研究も行う。 一径数自己同型群については、ロホリン性の特徴付けの性質が重要である。いくつかの十分条件が知られているが、これが同値な条件ではないかと予想されるので、その点を解明していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究は戸松怜治氏との共同で主に進めているので、研究打ち合わせのために旅費として使用する予定である。またさまざまな知識が必要となるので、そのための書籍を購入する予定である。
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