研究課題/領域番号 |
23540246
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
増田 俊彦 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 准教授 (60314978)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 作用素環 / 群作用 / テンソル圏 |
研究実績の概要 |
今年度は作用素環の群作用に関して次のことを研究した。 ます単射的因子環へのG核(片山-竹崎の意味での外部的作用)の研究を行った。分類については片山-竹崎によって一応の分類定理は得られているが、彼らのアプローチでは3コサイクルに付随する分解群を利用する必要がある。この群の構成はあまり標準的ではないが、群作用の分類の手法を一般化して、分解群を用いないで彼らの分類定理を証明した。不変量としてはある種のコホモロジーが現れる。また実際に不変量を実現する作用を構成する問題があるが、片山-竹崎の不変量を記述の仕方を変えることによって、分解群を用いずに構成した。 この構成では自由な外部作用の存在が必要となる。林-山上の理論の応用として、このような作用が得られることは知られているのだが、カテゴリー的な議論を駆使するので、彼らの構成を若干変えることにより、より見やすい作用の構成を行った。鍵となるのは離散従順群上にある種のエルゴート性を持つ確率測度の存在である。 また部分因子環論から生じるテンソル圏とそのLongo-Rehren部分因子環についても研究した。特にテンソル圏が組みひも作用素を持ち、かつ非退化な極小拡張が存在する場合を考察した。この場合2つのLR部分因子環が得られこれらは接合積の関係にある。この状況で極小拡張に自然なgradingが存在することを示し、かつテンソル圏や、加群圏の理論を適用して、この接合積を与える作用がどのように生じるかを、gradingとの関係において研究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定通りに課題が遂行できているため。
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今後の研究の推進方策 |
実数群の作用の研究を進める。特にロホリン的な作用の例のさらなる構成を通じて 作用の研究を行う。また離散カッツ環の作用の分類について、不変量の情報をどのように 利用して分類定理を導くかを解析する。 組みひも作用素をもつテンソル圏の非退化拡張の性質について、部分因子環の自己同型の 観点からさらに研究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
出張予定において、当初科研費から旅費を出す予定であったのだが、先方の事情によって 先方から旅費を出してもらうことがあったため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品購入や出張旅費に使用する予定であるが、他の研究者を招聘して、研究打ち合わせを行うことにも使用する予定である。
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