研究課題/領域番号 |
23540248
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
壁谷 喜継 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70252757)
|
キーワード | 放物型方程式 / 楕円型方程式 / ホットスポット / 重心 / 臨界作用素 / 劣臨界作用素 |
研究概要 |
線形放物型方程式の初期値問題の解の挙動に関して,今までは定符号の場合を扱っていたが,今年度は符号変化をするポテンシャルが付いた場合での解の挙動(特に最大値を与える点の挙動)の解明を行なった.初期値の重心や,ポテンシャルの形状が,最大値を与える点の挙動にどのように影響を及ぼすかを解明することができた.また,球面と双曲空間上の楕円型方程式の解の性質と挙動に解明した.なお,放物型方程式の研究に関しては,平成25年度中に公表決定や学術雑誌への投稿完了とまでは至らなかったが,平成26年度中には投稿完了できる見込みである.ポテンシャルの符号と最大点の挙動について明らかになっており,投稿原稿を仕上げる段階となっている. 一方,放物型方程式の研究の出発点となる楕円型方程式に関しては,今年度中に,学術雑誌に2編の論文が掲載された.一つは,球面上の楕円型方程式の解構造に関するものであり,もう一つは,双曲空間上でのスカラー場型楕円型方程式の正値特異解の一意存在に関するものである.正値特異解の一意存在が証明できるのは,非線形のべきが,いわゆるJoseph-Lundgren 指数よりも大きい指数の場合である.この指数の条件は,ユークリッド空間での既存の結果と一致するが,無限遠方での解の挙動については,定数定常解の周りで,振動する場合としない場合があることを明らかにし,ユークリッド空間と異なる点があることを解明した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
放物型方程式の研究において,場合分けが想定以上に複雑であることに気づき,今年度中には学術雑誌への投稿完了には至らなかったため,「順調に進んでいる」とまでは言いがたい.しかしながら,投稿用原稿はほぼ完成しているので,今年度の早い時期には投稿できる予定である.一方,基礎となる楕円型の方程式に関しては,ほぼ順調に研究が進んでおり,全体的にみて,厳しく自己を律するため,「やや遅れている」と判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は,平成25年度中に投稿できなかった論文原稿を仕上げ学術雑誌へ投稿する.並行して,ポテンシャルが符号変化する場合の総仕上げとして,定常状態の解に最大点が複数個存在する場合も込めて,包括的にポテンシャル付き熱方程式の初期値問題の解の挙動の解明を行う.作用素が臨界の場合と,劣臨界の場合双方に通用する,解の挙動の解明方法を確立する.臨界の場合は摂動論が使えないという困難さを解決する必要がある.そのために,摂動に頼らない比較函数を構成することで解明しようと考えている.また,特殊な状況においては,解の高次の展開が必要となると思われるが,その展開を丁寧な計算により遂行する. さらに,基礎となる関連する楕円型方程式の解(正値のものと限定せず)の構造やおのおのの解の漸近挙動を解明する.
|