研究実績の概要 |
ポテンシャル項つきの放物型方程式の解の時間大域的挙動の解明のため,その定常状態を記述する楕円型方程式の解がどのように影響を与えるかについて,連携研究者の東北大学石毛和弘氏と共同研究を行った.特に,解のノルムの時間減衰評価については,定常解の存在を元に,方程式の線形部分の作用素に対する「劣臨界」及び「臨界」の概念があるが,その双方の場合についてより詳しく検討を行った.残念ながら,平成26年度中にこの内容に関する論文の完成は間に合わなかったが,石毛氏と彼の共同研究者である E. M. Ouhabaz (Universite de Bordeaux, France)とともに,平成27年度中には完成させ,投稿する予定である. また,楕円型方程式については,単位球面上をほぼ覆う領域上でのさまざまな境界条件(Dirichlet 境界条件と Neumann 境界条件も含む)のもと,固有値がどのような分布をするかを検討し,その成果を,Kodai Mathematical Journal において公表した.この成果は,川上竜樹氏(大阪府立大学),小坂篤志氏(大阪市立大学)並びに二宮広和氏(明治大学)との共著である.この成果は,球面上の領域の非線形楕円型方程式の解の構造の解明への足がかりとなるものであり,平成26年度中の論文投稿には至らなかったが,平成27年度中に原稿を完成させ,投稿する予定である.この投稿予定原稿は,C. Bandle 氏(University Basel, Switzerland),二宮広和氏との共同研究によるものである.
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