研究課題/領域番号 |
23540250
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
山崎 満 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (30240732)
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キーワード | 超局所解析 / 流体力学 / 双曲型保存則 / 特殊相対論 / オイラー方程式 / ボルツマン方程式 / 多重双曲型 / エントロピー |
研究概要 |
1. 研究計画の概要 この研究の主目的は、相対論的オイラー方程式、ボルツマン方程式およびその速度離散モデル、1点で強双曲性が退化している非線形双曲型保存則系、双曲型保存則方程式の境界層解を調べることにあるが、最終目的は、より広範囲の流体力学の方程式および非線形双曲型保存則系の解の構造を解明することにある。 2. 研究の進捗状況 (1) 特殊相対論効果を加味した圧縮性等温流体のダイナミクスを記述する相対論的オイラー方程式について、P.G. LeFloch氏(director of research at CNRS & UPMC)と共同研究している。この方程式系の真空を含む解の存在を証明した。また、この結果をもとにして、同枠組みでの非相対論的極限に関する結果を得た。これらの結果を論文1編(投稿中)に纏めることができた。(2) ボルツマン方程式およびその速度離散モデルについて、S.Y. Ha氏(ソウル国立大学・准教授)と共同研究している。方程式および上記モデルの解の安定性について一般的な枠組みでの結果を得て、湯川方程式への応用を模索中である。(3) 1点で強双曲性が退化している非線形双曲型保存則系について浅倉史興氏(大阪電気通信大学・教授)と共同研究している。この方程式は石油貯蔵流などに応用があり、数値計算なしには解の存在・安定性についての結果が知られていない。そこで、衝撃波解の存在と安定性に関する結果を得ているが、これをさらに発展させようと試みている。(4) 粘性と毛管現象を加味した双曲型保存方程式の境界層解について、P.G. LeFloch氏と俣野博氏(東京大学数理科学研究科・教授)と共同研究している。この方程式の小さな初期値に対するRiemann問題の解の存在を示し、論文1編(投稿中)に纏めることができた。現在、この論文に改善すべき点が見つかり、その修正に努めている所である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
粘性と毛管現象を加味した双曲型保存方程式の境界層解および湯川方程式という新たな2つの題材について研究を始めたため、やや準備に時間がかかっている。一方、放物型方程式の世界的権威である俣野博氏(東京大学大学院数理科学研究科教授)が新たに共同研究者として加わることとなり、多角的な分析が加えられつつあり、研究に新たな独創性を生み出しつつある。LeFloch氏と俣野氏との共著の論文はほぼ完成しているが、手を加えたい所が1箇所だけ残っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題のうち、特に粘性と毛管現象を加味した双曲型保存方程式の境界層解および湯川方程式に焦点を絞り、共同研究を加速させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用が生じた背景として、海外・国内出張を予定どおり消化できなかった点が挙げられる。平成25年度は、これらの未使用額も合わせ、得られた研究成果を積極的に国際的な研究集会で発表して行く予定である。また、関連する話題をDanielle Hilhorst氏 (パリ南大学数学科・教授) と共同研究することも予定され、Hilhorst氏と日本で共同研究できないか、模索中である。
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