研究概要 |
核型C*-環をK-理論を用いて分類するElliottプログラムにおいて, JiangーSu環Zは重要な役割を果たしており, Zをテンソル積において吸収する(Z吸収性という)核型C*-環において, Elliott不変量が完全不変量になることが予想されている. 本年度は, 照屋保氏との共同研究において, Phillipsが有限群のC*-接合積において研究したトレース的ロホリン性の拡張版を, 綿谷指数有限なC*-環のペア P < Aに定義し, C*-環Aが可分な核型単純で単位元を持つとき, AのZ吸収性が, Pに遺伝することを証明できた. また, Cuntz半群のstrict comparison性についても研究し, C*-環Aが可分な完全、単純で単位元をもち, 綿谷指数有限なC*-環のペア P < A がトレース的ロホリン性を持つとき, Aのstrict comparison 性がPに遺伝することを証明した. ちなみに, 核型性は完全性より強い. これらの結果は, WinterーTomsの予想である, 可分な核型単純C*-環において, 3条件:1.Z吸収性を持つ, 2.分解次元が有限である, 3.strict comparison性を持つ, が同値であることのC*-接合積における肯定的データとを与えている. トレース的ロホリン性より強いロホリン性の場合, 綿谷指数有限なC*-環のペア P < Aにおける3条件の遺伝性については、2011年度の照屋氏との共同研究ですでに示されている.
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