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2011 年度 実施状況報告書

分子光球の探求ー晩期型星における水分子の系統的探査

研究課題

研究課題/領域番号 23540259
研究機関東京大学

研究代表者

田辺 俊彦  東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90179812)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード天文 / 赤外線天文学 / 恒星大気 / 低温度星 / 恒星進化
研究概要

1m 望遠鏡+ANIR のシステムでは典型的に Ksで 9等より明るい星は saturation のため観測はできない. それとは逆に 2つの狭帯域フィルター, Pa α, Pa α-offフィルターは幅が狭いためあまり暗い星は観測できない. さらに等級を決めるためには視野内 (5' x 5')にある程度 J, H, Ks の等級が分かった 2MASS の星が含まれている必要がある. このような制約のもと, 平成23年度はまず, 早期 K型から晩期 M型までスペクトル型の判った星を系統的に観測するためにスペクトル型, 光度階級が既知の K型, M型星をタイプ毎, 階級毎に適当な数選び出す作業を行った. その後, 9月末から 10月末にかけて代表者及び連携研究者 2名と共にチリ・アタカマサイト山麓のサン・ペドロ市に滞在し, 約 15天体の観測を行った. 本研究においては独自のフィルターである Pa α, Pa α-offフィルターの絶対キャリブレーションが不可欠である. 得られたデータに対し, 通常の撮像データ解析に従って処理を行ったが, これらのデータをもとに, 平成23年度は特に, 狭帯域フィルターの絶対キャリブレーションを検討した. その結果, 吸収も輝線もない場合, 狭帯域フィルターの等級を 1. Ks等級と等しくするという方法, 2. H, Ks 等級の内挿した等級と等しくするという方法でこれらの等級を決定することができ, Pa α, Pa α-off等級とKs等級との差を取ることで水分子による吸収の有無を明らかにできることを見出した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

miniTAO望遠鏡は標高 5640m チャナントール山山頂にあり様々な理由から観測を 5, 6月期, 10, 11月期の年 2回に限っている. さらに, 他のサイトでは観測できない観測が可能であるため, 他の観測研究テーマが当初想定していたより相当多くなった. このような事情のため, 今年度予定していた数の星を観測することができなかった. 本研究はその目的上,様々な型の星を数多く系統的に観測することが必要であるため, 今年度の達成度は充分ではないと考えている.

今後の研究の推進方策

平成24, 25年度も年40人日程度チリ・アタカマサイト山麓のサン・ペドロ市に滞在し, 可能な限りの数の星を観測し, 順次データ解析を行う. しかし上述したように観測星数をあまり増やせない場合も考慮し, 観測対象を巨星, 超巨星など恒星外層が膨らんだ進化末期の星に絞って水分子の探査を行う. これまで分子光球の存在が明らかになったのは, このような巨星に限られており, この変更により分子光球研究の重要度が現象することはない. 観測及びデータ解析と平行して,辻のモデルを参考にしつつ光球+分子光球のモデル大気の構築し, 観測データとの比較から星の表面温度や光度階級の違いによる分子光球の違いを定量的に明らかにする.

次年度の研究費の使用計画

本研究は観測研究であるため, 研究費の大部分を観測旅費が占める. 平成24度も平成23年度同様, チリに40人日程度滞在するため観測旅費を 100万から120万円予定している. 残りは研究発表等の国内旅費, データ解析用の PC 等に当てる予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Paschen α observations of Be stars toward SMC cluster NGC330

    • 著者名/発表者名
      田辺俊彦
    • 学会等名
      日本天文学会
    • 発表場所
      鹿児島大学
    • 年月日
      平成23年9月20日

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公開日: 2013-07-10  

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