研究課題
本研究では、太陽の1.5~5倍程度の質量をもつ中質量星において未だ存在が明らかになっていない「低質量惑星」と「短周期惑星」について、「中質量巨星の高頻度視線速度観測」及び「中質量主系列星の超高SN比視線速度観測」という二通りの新しいアプローチによって迫ることを目指している。また、同時に測光観測による掩蔽現象の検出にも挑む。これにより、中質量星における土星~木星質量の惑星及び短周期惑星の存在確率を初めて明らかにし、これまでの観測と合わせて中質量星における惑星系の統計的な性質を確立、惑星形成・進化過程についての詳細な理解を得ることを目指す。平成25年度は、前者の目的のため、前年度までに同定した低質量惑星を有する可能性のある中質量巨星に対して、国立天文台岡山天体物理観測所で高頻度かつ高精度の視線速度モニター観測を継続した。その結果、木星質量の2倍以下の低質量惑星を新たに2つ発見するとともに、公転周期が約45日以下の短周期惑星候補を3つ同定した。このような短周期惑星候補が中質量巨星で見つかったのは初めてである。また、後者の目的のため、前年度に引き続きヒアデス星団に含まれる中質量主系列星20個に対して、視線速度変動の詳細な解析を実施した。脈動や恒星活動の可能性を含め検討した結果、公転周期約70日の短周期惑星候補を1つ同定した。以上の結果を合わせ、本研究では研究期間を通じて計4つの低質量惑星を現時点で発見し、また、公転周期約70日以下の有力な短周期惑星候補を4つ同定することに成功した。これらはいずれも中質量星では従来発見されていなかった種類の惑星であり、今後の中質量星における惑星探索に新たな展開をもたらすものとなった。
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Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 65 ページ: No. 85
10.1093/pasj/65.4.85