研究課題/領域番号 |
23540264
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北井 礼三郎 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40169850)
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研究分担者 |
一本 潔 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70193456)
柴田 一成 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70144178)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 太陽活動 / ジェット現象 / 微細構造 |
研究概要 |
本研究課題は2次元高分解能分光観測による太陽表面ジェットの研究である。平成23年度の成果で特筆すべきものは、国際会議「Hinode-5」の招待講演として、太陽活動領域内のエラーマンボムについて総合的レビューを行い、このエラーマンボムが太陽彩層深部での磁気リコネクションによって駆動されていること、その発生に伴って双方向ジェットが放出されていることを明らかにしたことである。この成果は、飛騨天文台ドームレス太陽望遠鏡での分光観測、太陽観測衛星「ひので」の高空間分解観測、スエーデン太陽真空望遠鏡による2次元多波長観測を用いた研究に基づいたものであり、高分解能分光観測研究の威力を示すものとして高い評価を得た。この成果は今年度学術雑誌に国際会議集録特集号として発行される予定である。 また、2次元単色画像のマルチフレーム・ブラインドデコンボリュション手法による高分解能画像復元については、口径が世界最大の太陽望遠鏡である米国のNST望遠鏡で撮影された黒点暗部の微細構造の多波長単色観測をもとにしてその有効性を確認した。この成果は、黒点内部の微細構造を3次元的に明らかにしたものであり、Astrophysical Journalに投稿し受理された。 さらに、高分解能画像復元法を、飛騨天文台ドームレス太陽望遠鏡に新規導入するために、(1)2チャンネル(On-focusとOff-focus)画像の取得システムを開発し、(2)テスト観測実施、(3)画像処理の予備的シミュレーションを行った。この結果、広いダイナミックレンジにわたる太陽微細構造の観測には、従来のCCDカメラではなく、CMOSタイプの高速カメラにの導入の必要性が明らかになった。また、大量の画像データを処理するためには、PCメモリーが16GB程度必要であることも判明し、次年度の開発計画の展望を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
画像処理手法を実データに適用して、その有効性を確認することができ、また、テスト観測により次年度の開発の方針展望を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果により、飛騨天文台ドームレス太陽望遠鏡に高分解能2次元分光観測システムのプロトタイプを発展させて完成し、本観測を可能とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
高性能PCの購入、データ保存RAIDシステムの導入、CMOSカメラの導入して、観測システムを完成し、観測を実施する。観測および研究打ち合わせ、内外での研究成果発表のための旅費使用も計画している。
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